巨人が19日の阪神との開幕戦(東京ドーム)に勝利し、球団通算6000勝を達成した。

 スポーツ報知では、「巨人6000勝の軌跡」と題して、1000勝から100勝ごとの節目勝利を、当時の記事で振り返る。

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 やったぞ、駒田、劇的な逆転サヨナラ弾。巨人は駒田のプロ入り初のサヨナラホーマーで中日に連勝した。今季12度目の延長戦に入った10回裏、岡崎のラッキーな振り逃げをきっかけに1死二塁とした後、駒田が上原のストレートを左翼席へ16号2ラン。今季5度目のサヨナラ勝ちで、力投の斎藤に9勝目をプレゼント。首位・中日に連勝した勢いに乗って、巨人は20日からの広島戦に臨む。

◆巨人4―3中日(延長10回・1991年8月19日・東京ドーム)〔勝〕斎藤18試合9勝8敗〔敗〕上原29試合7勝2敗〔本〕立浪8号(斎藤・1回)、村田13号(郭・4回)、駒田16号2ラン(上原・10回)

 「ボールだけは打つなよ」駒田は、こう自分に言い聞かせていた。延長10回1死二塁、1点のビハインド。中日の野手陣がマウンドで相談している。リーダー格の落合が、サインでベンチと確認し合った。一塁ベースが空いている。が、歩かせればウィニングランになる。駒田は、迷った。勝負なのか、敬遠なのか。

 上原の1球目は、渾身(こんしん)の力を込めたストレートだった。ここで駒田は確信した。「勝負だ」。次の2球目、外寄りのストレートをフルスイングだ。大歓声に乗って、打球は左中間へ伸びた。中日応援団のブルーのメガホンが一瞬止まった。劇的なサヨナラ2ラン。今季16号が、プロ入り11年目にして初めてのサヨナラアーチとなった。

 歓喜のホームイン。「中途半端はダメ。思い切って振るしかないと思っていた」顔を紅潮させながら、駒田の声が弾んだ。思いっきり振ることを決断させてくれた上原の1球目。「あれがフォークだったら、まだ迷っていたかもしれない」ここで自分自身の踏ん切りがついたという。

 もし、迷いがあったのなら、またボール球に手を出す“悪球打ち”の駒田になっていたかもしれない。「くさいコースを突かれて、ワンバウンドになるようなボールを振っていたかも…」と笑った。

 ボール球を空振りするシーンがよく目立つが、やたら何でも振っているわけではない。投手の配球を読み、狙い球を絞っているのだ。駒田はよくこんなことをもらす。「ピッチャーから見て、アイツは何も考えていない打者だと思われた方がいい。その方が気楽だから」駆け引きがしやすくなるからだ。

 テーマはシュートをいかに打つことだった。「シュートを打ちにいって打てなかったんですよ」5回の第3打席、追い込まれてからシュートを左前へはじき返し、気持ちに余裕ができた。このヒットが、ホームランへの伏線だった。

 3安打の猛打賞で再び首位打者に返り咲いた。「それは関係ない。率じゃなくて、シーズンが終わって何本ヒットを打ったかだと思っている。目標は170本」現在は130本。残り28試合で40本は難しいが、それよりも開幕前に立てた大きな目標は達成寸前だ。

 2年連続130試合出場。もう巨人に奇跡は起きないかもしれない。が、劇的なサヨナラ弾の興奮の中で駒田の目は燃えていた。(高橋 大司)