[J2リーグ2節]山形1-0栃木/6月27日/NDソフトスタジアム山形

「開幕戦の頃はちょっとぎこちなかったが、だいぶチームでスムーズに持てるようになっていて、攻撃にかかるスピード感は練習試合を重ねるごとに高まっている」

 リーグ再開試合の栃木戦を前にした石丸清隆監督の言葉だ。
 
 今年の山形は、石丸新監督が就任したことで、昨年までの守備重視のサッカーから「ボール持ちながら主導権を握り相手を動かして攻める」というポゼッションスタイルへの転換を図っている。

 その中でもキャンプから特に力を注いでいたのは、昨年までチームが苦手としていたビルドアップだ。
練習試合などで何度も失敗を重ねながらトライを続けていたが、2月23日のリーグ開幕磐田戦でも緊張感や長いキャンプの疲労が重なり、自陣でタッチミスやパスミスを頻発させていた。

 守備重視から攻撃重視への大転換でもあり、ひとつの形になるまで時間がかかるのは当然のこと。開幕戦後もまだ先は長いと感じさせられていた。

しかし、今回のコロナ禍によってリーグが中断したことで、山形は練習を休止するまでの3月と全体練習再開後リーグ戦再開までの6月の2か月間をかけて、新スタイルの構築に取り組むことができた。

 リーグの長期中断という前代未聞の出来事において生まれた猶予。何事もなければ一番良かったのだろうが、この期間を不幸中の幸いとポジティブに捉えられている。

 そして迎えた再開試合栃木戦。ストーミング戦術を狙ってロングボールを入れてくる栃木に対して、山形はその裏を狙う長いボールを交えて相手を押し下げながらボールを握ると、シャドーの渡邊凌磨や山岸祐也がギャップに顔を出しながらパスを受けて、ボール保持率を高めていく。

 押し込んだ相手に攻め急ぐ回数も減り、距離感を保って何度か組み立て直しながら攻めると、18分に相手のクリアボールを渡邊凌磨が豪快なハーフボレーで叩き込んで先制。これが決勝点となって石丸体制初勝利を飾った。



 昨年までのスタイルであれば、この試合は割り切ってロングボールの応酬でぶつかり合うことになっていただろう。その選択をしなかっただけでなく、栃木の狙いを意図的に外して攻められたのは、前を向いて狙い通りに前にパスを通せたから。そのパスを出す余裕を生み出したのは、今年チームで取り組んできたビルドアップが開幕戦よりも向上していたからに他ならない。

 どの選手も怖がらずに自信を持ってボールを動かせていたことは、磐田戦と比べて目に見える変化だった。

 試合を通して見れば、相手に何度か引っ掛けられてカウンターを受けたことや、「ボールサイドは数的優位がかなりありもっと崩せた」(石丸監督)というアタッキングサードでの連係不足など課題も多い。

 とはいえ、開幕から2戦目の時期に新スタイルで戦えるだけのベースが整いつつあることは、船出したばかりの石丸新体制にとって大きな自信と励みになるだろう。

 7月以降は怒涛の過密日程がスタートする。猛暑が重なる真夏の時期までに今のスタイルがさらに深まっていけば、消耗を避けながら相手を動かし、もう少し余裕を持って戦っていけるはずだ。

取材・文●嶋 守生(フリーライター)

【J2第2節PHOTO】山形1-0栃木|渡邊凌磨が華麗な一撃!山形が歓喜のひじタッチ!