◆明治安田生命J3リーグ第1節 岐阜0―0今治(27日、長良川)

 Jリーグがある日常が戻ってきた。J2が約4か月ぶりに再開、J3は約3か月半遅れで開幕した。2月23日以来125日ぶりの公式戦は、リモートマッチ(無観客試合)で開催され、J3では今季初昇格した元日本代表監督の岡田武史氏(63)がオーナーを務める今治が、岐阜に0―0でドロー。J初陣で勝ち点(1)を手にした。

 サポーターとともに戦うはずだった記念すべきJ初陣は、誰もいないスタジアムで迎えた。それでも今治は、終盤は足をつりながらも体を張ってゴールを守り抜き、J2から降格してきた“格上”の岐阜から敵地で貴重な勝ち点1をもぎ取った。スタンドから見つめた岡田オーナーは「内容も悪くないし、よく戦っていた。(終盤は)ちょっと精いっぱいなところはあったけど、方向性は間違っていない。このままやっていけば必ず結果は出ると思う」とチームをたたえた。

 新型コロナウイルス感染拡大により3か月半遅れた開幕戦は、チーム一丸で奮闘した。前半11分に元日本代表DF駒野が右サイドからのクロスで決定機をつくるなど、序盤は押し気味に試合を進めた。後半は地力に勝る相手に押し込まれたが、無失点で切り抜けた。MF楠美主将は「今治としてのJ開幕戦は今日が最初で最後。ピッチに立って試合ができた喜びを感じている」とかみしめた。

 岡田氏は14年11月にオーナーになって以降、地方創生を掲げて町とともに活動してきた。期待を背負いながらも、J3参入を目標にした18年はJFL5位に終わり、昇格を逃した。背水の陣で臨んだ昨季は監督に盟友の小野剛氏を迎え、若手の手本となるベテランの元日本代表MF橋本や同DF駒野らを補強。ギリギリの戦いながらも、11月10日のマルヤス岡崎戦に1―0で勝利し、J3昇格条件の4位以内を確定させた。「想定より1年遅れたが、ホームで昇格を決められて良かった」。喜びよりも、今治の人たちの期待に応えられたという安堵(あんど)感に包まれた。それだけ人生を懸けてつかみ取ったJの舞台だった。

 新型コロナ禍で戦う前例のない今シーズン。「やるからにはJ2昇格の2位以内を狙っている」という岡田オーナーに導かれ、今治が力強くスタートを切った。(井上 信太郎)