「DeNA6-0阪神」(26日、横浜スタジアム)

 無援地獄に泣いた。阪神・西勇輝投手(29)が7回8安打1失点と力投したが、打線が無得点に終わり、悔しい今季初黒星を喫した。唯一の失点となった被弾は責められない。だが、どんな状況でもチームを背負うのがエースの役回り。苦境を乗り越え、必ず笑う。

 西勇は祈るように戦況を見届けたが、代打攻勢も試合は好転しなかった。7回を8安打1失点。無援に泣き、1球に泣いた。先発投手として仕事を果たしたが、エースとして責務を果たすことができない。試合後は無念の胸中を隠さなかった。

 「チームの連敗を止められなくて悔しいです」。沈むチームを鼓舞するよう、西勇は喜怒哀楽を表現した。打ち取って激しく手をたたき、打たれて激しく悔しがる。開幕投手の大役を務めてから1週間。1勝5敗と負けが先行する中、仲間を奮い立たせようとした。

 毎回のように走者を置きながら、得点は許さない粘りの投球を続けた。だが、開幕から負けが先行するチーム。低調な打線はこの日も序盤から援護がない。五回だった。先頭の宮崎にボールが先行。3-1から5球目、142キロのシュートがわずかに中に入ったか。

 右翼スタンドに飛び込む白球を見届けると、マウンドの西勇はぼう然自失の表情。しばらく動けなかった。50球目にして唯一の“失投”。たった1球に泣き、矢野監督も「1点で負け投手ではかわいそう。野手の、打つ方の責任は明らかだ」とかばった。

 続く2死満塁のピンチでは、オースティンを投ゴロに抑えて最少失点でしのいだ。「流れを呼ぶ」と誓って臨んだマウンド。右手でグラブを激しくたたき、感情を表に出した。六、七回もスコアボードに0を並べ、ベンチから仲間の反撃を信じて待った。報われなかった99球。それでも気迫が伝わる投球だった。

 19日の巨人戦では6回1失点の熱投に加え、プロ初本塁打を含む2安打2打点の活躍。だが、援護点は自らが叩き出した2点だけ。勝ちに恵まれない中でも奮闘は続く。「切り替えて次の登板に向けて、しっかり調整します」。チームを背負うのがエースの仕事。振り返ることなく、前だけを向いて戦う。