巨人が19日の阪神との開幕戦(東京ドーム)に勝利し、球団通算6000勝を達成した。

 スポーツ報知では、「巨人6000勝の軌跡」と題して、1000勝から100勝ごとの節目勝利を、当時の記事で振り返る。

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 巨人・王貞治選手(37)は18日、「756号」より一足先にもう一つの“世界新”を達成した。ベーブ・ルースの持つ米大リーグ最多四球記録に並んでいた王はこの日、後楽園球場で行われた対広島18回戦の4回裏、高橋里投手から四球を選び、通算2057個の四球世界新記録を樹立、さらに5回裏にも四球を加えた。しかし、注目のホームランは不発で“6試合連続”はならなかった。

◆巨人6-0広島(1977年7月18日・後楽園)〔勝〕新浦 28試合8勝2敗2セーブ〔敗〕高橋里 22試合6勝8敗

 外角低めのボールを見送り、ゆっくり一塁へ歩く。ルースを抜く2057個目の四球。バットマン王にまた一つ加わった「偉大な記録」は、しかし静かに達成された。笛、太鼓は影を潜め、むしろ6試合連続アーチを期待したスタンドからは、失望のため息すら。王も無表情だった。

 4回裏「大打者の勲章」を与えたのは高橋里だった。今季王には18打数1安打しか打たれていないキラー。この日も初回に三振に仕留め、胸を張っていた。

 が、1-3から右翼ポール際へ続けて2本「うまく打った」(王)大ファウルを打ち込まれて、自信は崩れたのだろう。過去、多くの投手がこの一発を恐れて逃げまくったように、7つ目は外角へ力ないボール。選んだというより“奪った”四球だった。

 電光掲示板に「祝 四球世界新」の文字と場内アナウンスが記録達成を告げたのは、5回表の守備についた時で、王は帽子を取って、四方に軽く頭を下げた。

 四球は地味だ。特にホームランをまず一番に義務付けられているこの男にとっては「印象深い四球なんてあまりないし、むしろ調子が良くて打ちたい時に歩かされた悔しい思い出の方が多い」と言う。

 「四球は自分で作るものではなく、相手投手次第だからね。まあ、感想は皆さんにお任せしますよ」とそっけなく付け加えたのは“6試合連続”を逃した無念の思いが強いせいだろう。

 だが、はやる気持ちを抑えて、選び抜いてきたこの記録は、自分に打ち勝った我慢の歴史の積み重ねでもある。地味だが「勲章」はまばゆいのだ。

 5000塁打突破をはじめ、5試合連続アーチ。そして四球記録と、ここへきて華やかな話題に包まれ出した一本足。最近の記録ラッシュは「ホームラン756」のプロローグだ。(柏)