「ヤクルト3-1阪神」(25日、神宮球場)

 ヤクルト・長谷川宙輝投手が、移籍後初勝利を飾った。

 プロ“4年目”でつかんだ、格別のプロ初勝利だった。長谷川が笑顔でウイニングボールを手にする。「流れを作りたい」。味方を信じ、奇跡を願った末のサヨナラ劇。流れを呼び寄せた10球だった。

 1点を追う九回に、3番手で登板。「1点差の場面で送り出してもらえた」と意気に感じたマウンドだった。対するは、阪神の中軸打線だ。だが、憧れだった神宮のマウンドが長谷川に味方する。まずは糸井を二ゴロに打ち取ると、マルテは右飛。最後の福留は変化球で空振り三振に斬って取った。

 三者凡退が導くのは、奇跡のフィナーレだ。ベンチでは「サヨナラホームランもあるな」と見守っていたといい、まさにその結果に。「まさかこんな最高の形で、プロ初勝利がもらえるとは思っていなかった」と笑顔がはじけた。

 昨季まではソフトバンクの育成選手だった。プロ“4年目”でつかんだ初勝利。「早かったような、遅かったような。ずっと育成だったので」と頭をかく。それでも今、憧れだった神宮の舞台に立つ。聖徳学園高(東京)時代は、一度も立てなかったマウンド。「東京の高校で、神宮で試合をしたことはなかった。忘れられない初勝利です」と言葉ははずむ。

 練習試合では失点を喫する日もあった。慣れない1軍での生活。対する強打者は、初対戦のバッターばかりだ。ある試合後、高津監督に声をかけられた。「ミスを恐れないで、強い球を投げることを心がけて」-。失敗も成功も糧に進む、新天地での1年目。「移籍選手で、新人王をとりたい」。大きな夢には続きがある。背番号「90」が紡ぐサクセスストーリーはここ、神宮から始まる。