「ヤクルト1-4阪神」(23日、神宮球場)

 待った時間が長い分だけ、勝利の味は格別だ。阪神のジェフリー・マルテ内野手(29)が1点を先制した直後の初回、左中間席へ今季1号2ラン。早くも今季2度目の猛打賞をマークし、巨人との開幕3連戦で計4得点と湿った打線を活気づけ、矢野阪神の2020年初勝利を呼び込んだ。

 まだ明るい、ほぼ無風の神宮の空に高々と打球が舞い上がる。マルテ得意の弾丸ライナーではない、滞空時間の長い一撃が左中間席中段で弾んだ。

 悠々とダイヤモンドを一周してベンチに戻ると、矢野監督が“アロハポーズ”で迎える。仲間からエアハイタッチでの祝福を受けた後、弓を引くような“マルテポーズ”を無観客のスタンドに向けて決めてみせた。

 今季1号となる2ランが飛び出したのは初回だ。1点を先制して、なおも1死三塁。ファウルで3球粘った後の9球目、イノーアの149キロ直球を完璧に捉えた。「この瞬間を待っていたので、自分としてもとてもうれしい時間になったよ」。昨季マルテが本塁打を放った試合は10勝1敗1分けと高勝率。この日の一発もチームに今季初勝利を呼び込んだ。

 大山との開幕三塁争いを制し、不振のボーアから4番の座を奪った絶好調男の勢いは止まらない。第2、3打席と続けて左前打を放ち、今季早くも2度目となる猛打賞を記録。打率を・462とし、「チームの連敗は自分でコントロールできない。コントロールできるとしたら、しっかりと100%の力で毎日戦うこと。それが今日はできたかな」と胸を張った。

 来日2年目の進化は目覚ましい。打撃だけでなく、選球眼がさらに良くなった。外に逃げる変化球に手を出さない上に、この日のような一発がある。相手バッテリーにとっては嫌なバッターだ。春季キャンプで早出特守を欠かさなかった三塁の守備も無難どころか、ほぼ完璧にこなしている。

 試合後のヒーローインタビュー。マルテの弾んだ声が、スピーカーから無観客の球場に響く。「皆さんがまた来てくれることを願いながら戦っていきたいと思います!」

 『CoCo壱番屋』のカレーにはまり、今春の沖縄キャンプでは知り合いを通じて、ココイチ特製の皿とマイスプーンを仕入れた。私生活でも日本にすっかりなじんでいるM砲。今季もここ一番の一打でチームを勝利に導いてみせる。