夏の高校野球中止に伴う福岡県高校野球連盟主催の独自大会が始まった21日、独自大会ではない引退試合に臨む3年生たちがいた。そのチームを応援したのは、高校生活最後のコンクールがなくなってしまった吹奏楽部員たち。甲子園の応援に負けない思いが選手たちに伝わった。

 部員のほとんどが大学進学を目指す城南(福岡市城南区)。夏の福岡大会中止が決まった時点で受験勉強のために区切りを付けようという3年生が大多数を占めた。中野雄斗監督(29)は引退試合を用意した。相手は中村学園三陽(福岡市西区)。その後、一転して独自大会の開催が決まったが、3年生の話し合いで、中村学園三陽戦を引退試合にすることは変えなかった。

 この試合を、演奏で後押ししたのが、両校の吹奏楽部だ。今年のコンクールはコロナの影響で中止に。そう決まった時の気持ちを、城南の吹奏楽部長の3年畑田郁菜さんは「突然目標が消えて気持ちに穴が開いてしまった」と振り返る。そんな中で、野球部の引退試合での応援を、「思いが重なる」と引き受けた。

 城南の吹奏楽部は学校再開後、3カ月ぶりに楽器の演奏を始めた。演奏する楽しさをかみしめながら、この日に向けて練習してきた。この日は感染防止策で、グラウンド横にある校舎からの演奏と応援になった。攻撃時には楽器を奏で、守りの時は窓から身を乗り出して声援を送った。城南は試合には敗れたが、最後は吹奏楽部の伴奏で校歌を歌った。吹奏楽部の3年生部員が校歌を演奏するのもこの日が最後の予定だという。

 野球部主将の3年五十嵐重史君は「すごい応援で、甲子園の中でプレーをしているようだった」と試合後に話し、吹奏楽部員に感謝した。畑田さんは「野球部のみんなに気持ちが届けと思って演奏した。一緒に最後の試合を戦えてよかった」。(川辺真改)