「DeNA2-1広島」(21日、横浜スタジアム)

 プロ初白星こそつかめなかったが、今後へ期待が膨らむ圧巻のデビューだった。広島のドラフト1位・森下暢仁投手(22)=明大=がプロ初登板初先発し、7回4安打無失点、8三振の好投を披露した。直球は自己最速タイとなる154キロを計測するなど威力十分。変化球にもキレがあり、DeNA打線を手玉に取った。大輪の花が咲く日は、そう遠くなさそうだ。

 アウトを奪うと黄色いグラブをたたき、はにかみながらベンチに戻った。落ち着き払ったマウンドさばき。それでも心の奥では闘争心が燃えたぎっていた。気後れも、不安もなかった。「向かっていきました」。森下は腹を決め、堂々と相手に挑んだ。7回4安打無失点。結果的に好投は報われず、プロ初勝利はならなかったが、今後の活躍を予感させる上々のデビューだった。

 公式戦独特の雰囲気と真剣勝負の空気に「緊張しました」と心境を振り返った。その初回、先頭の梶谷に152キロ直球を左前に運ばれ、無死一塁。浮き足立つかに見えた右腕に、運も味方する。2番・乙坂の痛烈な打球をメヒアが捕球し三直。梶谷は帰塁できず、一気に2死を奪った。

 これで「気持ちが吹っ切れた」と立ち上がりに得点を与えず、波に乗った。五回は1死二塁で梶谷、乙坂を連続三振。直球とカットボール、カーブにチェンジアップ。全球種がカウント球、勝負球になった。「自信を持って投げるしかないと思って」。リードはわずか1点。それでもこの日の森下には十分だった。

 六回は3番・ソトを外角151キロで空振り三振。明大の先輩でもある4番・佐野を二ゴロに料理し、ロペスは直球で中飛に打ち取った。七回も三者凡退。開幕戦、2戦目を分析し、「会沢さんのリードを信じて投げました」と文句なしの8奪三振で、敵地のマウンドに君臨した。

 開幕前の練習試合2試合では、いずれも初回に失点。本番前の最終登板となった14日のソフトバンク戦では4回9失点(自責点7)と不安を残した。それでも「球自体は悪くなかった。とにかく攻めていこうと思った」。公式戦で、さすがの修正力を示した。

 佐々岡監督は「前回の反省を生かして7回を投げてくれた。ナイスピッチング」と賛辞を贈った。九回にサヨナラ負けを喫したが「自分が九回に投げても、このようになっていたかもしれない」と右腕。「勝てるような投球がしたい。ゲームを作れるピッチングをしていきたい」と森下は口元を結んだ。ドラ1の看板にふさわしい好投。手応えを胸に、背番号18は次戦に臨む。