「イースタン、ヤクルト4-2西武」(20日、戸田球場)

 圧巻のデビューだ。ヤクルトのドラフト1位・奥川恭伸投手(19)=星稜=が20日、イースタン・リーグの西武との開幕戦で先発し、2三振を奪う快投を見せた。対外試合初登板だったが、初球からいきなり自己最速タイの154キロマーク。1回を三者凡退に抑え、大器の片りんを存分に見せつけた。

 まっさらなマウンドに足を踏み入れた。初めてアウトを奪うと、奥川が人さし指をピンと立てる。結果よりも内容重視と言い聞かせて上がった初舞台。「試合独特の緊張感とかワクワク感とか。久しぶりに味わうことができて楽しかった」。見えた景色、伴った結果に喜びがあふれ出た。

 昨年9月末に行われた茨城国体以来の実戦マウンドだった。それでも“ブランク”を感じさせない。いきなり154キロの速球で先頭西川から空振りストライクを奪うと、5球目の直球で遊飛に。初めてのアウトを奪うと、さらに続く綱島には内角をえぐる直球で見逃し三振。最後は高木も149キロの直球で空振り三振に打ち取った。

 2奪三振で三者凡退に打ち取る圧巻デビューとなった。だが、ここまでの道のりは順風満帆ではなかった。1月には右肘の軽い炎症を発症し、ノースローに。我慢の時間を過ごしただけに、キャンプインで解禁となったシャドーピッチングをした際には「やっと野球をやっている感じがして楽しかった」と満面の笑みを浮かべた。誰よりも感じる投げられる喜び。そんな右腕に、イースタン開幕戦という特別なマウンドが用意された。

 寮の自室には“道しるべ”が飾られている。それは高津監督らと必勝祈願に訪れた明治神宮で手渡された縁起物、奉祝献灯『夢鈴』の短冊で、そこには「日本一の投手」と思いをしたためた。大きな目標を掲げると同時に、「まずは2軍の試合で結果を出していきたい」と足元を見つめる。そのスタートの一日となった。

 父の日の前祝いだ。故郷・石川へ贈る実戦デビューの吉報に、「ひとまず今日登板できたので、しっかりと報告したい」と笑う。そして言葉を紡いだ。「これから打たれることもあると思うけど、その中でどうして打たれたのかを反省しながら成長につなげていきたい」。19歳で描く夢の続きへ。頼もしい言葉で締めくくった。