三塁側ベンチに飾られている手紙が、パワーの源だ。静岡・清水桜が丘の選手たちが、園児らの思いを胸に代替大会を戦う。「せっかく、つながった縁。僕たちが頑張ることで、元気になってくれたらいい」。小林亮太主将(3年)が、手紙の送り主たちに勝利を送り届ける。

 今年の2月だった。主将ら4人を中心にちびっ子野球教室を企画。例年、少年野球の選手を集めていたが、今年は趣向を変えた。「底辺を広げるために、野球をやったことがない子供たちを集めようということになった」と八木悠介外野手(3年)。幼稚園年長から小学生高学年まで約60人に声をかけた。

 少しでも楽しんでもらおうと自分たちなりに工夫した。本番前に子供体操教室へ出向き、どう小さい子と向き合えばいいかを教わった。プラスチックのバットと大きな柔らかいボールを使用したティーボール形式の野球で盛り上がった。悪戦苦闘だったが、参加者の笑顔に元気をもらった。

 その直後、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、高校同様、幼稚園や小学校が休校になった。野球教室に来てくれた子たちを元気づけようと、お礼を兼ねて手紙を送った。自粛生活に飽きないようにと、簡単な遊びをプリントにしたためた。そのお返しに、手紙が届いた。大人の代筆のものもあったが、中には園児が覚えたてのひらがなで手書きしたものもあり、励ますつもりが、反対に刺激をもらった。

 代替大会でスタンド観戦出来るのは、3年生の保護者1チーム5人まで。“教え子たち”に、直接プレーを見せることは出来ない。「本当は、子供たちにも見てもらいたかった。その分、勝利を届けたい」と、小林主将が全員の思いを代弁した。(塩沢 武士)