-野球女子の記事一覧はこちら- 女子プロ野球リーグを代表する強打者として注目されるみなみ(本名:高塚南海)選手。 京都両洋出身のみなみ選手は2015年から育成チーム・レイアに入団し、2年間を経て、2017年にディオーネに昇格すると3本塁打を…

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 女子プロ野球リーグを代表する強打者として注目されるみなみ(本名:高塚南海)選手。

 京都両洋出身のみなみ選手は2015年から育成チーム・レイアに入団し、2年間を経て、2017年にディオーネに昇格すると3本塁打を放ち、最優秀新人賞を獲得。2018年には女子プロ野球リーグ初の2打席連続本塁打を記録し、2019年には通算100安打を達成。

 女子プロ野球きってのスラッガーへ成長したみなみ選手の野球人生や、今後の目標を追った。

■高校で野球を終えるつもりだった

 みなみ選手が野球を始めたのは小学校3年生から。当時から遠くへ飛ばすことはできたが、自信を持っていたのは打撃よりもむしろ守備だった。

「あまりヒットを打てる選手ではなかったので、守備をしている方が好きでした」と振り返るみなみ選手。中学入学後、当初は軟式野球部に所属していたが、もっとレベルが高い環境でプレーすることを求めて、兄・一貴さんが通っていた守山少年野球クラブに入部する。

 そこで、一塁を守りながら実力を磨いてきた。滋賀県湖南市出身のみなみ選手は、京都両洋への進学を決断した。

「ちょうど京都両洋に女子の硬式野球部ができると聞いたのがきっかけです。まだ女子の硬式野球チームは少なくて、その中でも通える範囲だったのが京都両洋でしたので、通うことになりました」


インタビューに答えてくれた埼玉アストライア みなみ選手



 一期生として入部したみなみ選手は投手としてプレーしていたが、思うような結果を残せず、監督の勧めで外野手へ転向。

 1年夏から全国大会に出場し、2年春の全国大会では4強、2年夏も全国大会に出場、3年春はベスト8と実績を残し、最後の夏は全国大会初戦敗退でみなみ選手の高校野球人生は終わった。この初戦敗退の悔しさが、女子プロ野球選手を目指す一つのきっかけとなった。

「1年生の時から全国大会に出場させていただいて、下級生の時から上級生がメインのチームに勝った時の嬉しさはありましたが、最後の夏は下級生中心のチームに負けた悔しさがあって、それがプロ野球を目指そうと思った一つのきっかけでした」

 敗退直後、すぐにプロ野球選手になろうと思ったわけではない。実はみなみ選手、野球は高校限りで終えようと考えており、美容関係の学校に進むか、幼少時からの夢だった保育士になるための道を歩もうと考えていた。

「当時の高校の監督から、プロ野球選手を目指してみないかと3回誘われたのですけど、すべて断っていました」

 それでもプロ野球選手を目指そうと思ったのは、当時の監督の熱い言葉があった。

「当時の監督が『自分の指導不足でお前を伸ばしきれなかった。だからプロの指導者の元でやれば、お前はもっと伸びる選手だ』と言ってくれたんです。

 当時の自分は選手としての自信が全くなくて、プロでやれる選手だと思っていなかったんです。

 でもその言葉や、最後の夏の負けの悔しさなどいろいろな思いから、女子プロ野球選手を目指そうと思いました」


インタビュー中に笑顔で話をしてくれた埼玉アストライアみなみ選手

■トップチーム入りしてから野球の向き合い方がさらに本気になった

 プロテストを受験したが1回目は不合格。

 「自分にとっては良いアピールをしたつもりなんですけど、不合格でした。それが悔しくて悔しくて、2回目は必死にアピールして合格をもらうことができました」

 育成チーム・レイアに入団後は2年間、トップチームで活躍するために必死に練習に取り組み、数少ない実戦機会で経験を積んだ。転機となったのはプロ3年目。ディオーネに移籍したみなみ選手は川口亜祐美コーチ(当時)から指導を受け、長打力を開花させる。

 初本塁打を含む3本塁打を放ち、新人賞を獲得。この時から野球との向き合い方が大きく変わった。

「トップチームに入ってから打撃について真剣に考えるようになりました。高校時代はその日限りの野球といいますか、先のことは全く考えて野球はしていませんでした。この時から上達するためにトレーニング、練習のことを考えるようになりました」

 2018年も最多本塁打賞を獲得し、2019年には通算100安打を達成した。この数字についてみなみ選手は「まだ通過点」だととらえている。



「100安打を達成している選手は多くいますし、まだ誰も達成できていない記録を達成したい思いがあります。打撃面で初めての打撃記録というのを目指していきたいです」

 実力だけではなく、2018年に行われた「女子プロ野球美女9総選挙」では2位に選ばれるなど、美女アスリートとして注目されるみなみ選手は「こういう形で女子プロ野球を認知してもらえばと思いますし、その結果を見て球場に足を運んだ方々にはプレー面で注目してもらえるようにアピールしていきたい」と語る。

 京都から始まった女子プロ野球も10年の月日を迎えた。中学生の時、黎明期を目の当たりにしていたみなみ選手は、当時よりも認知度も観客の数も増えてきたと実感する。

 だからこそ一人の女子プロ野球選手として「何か突出したものを持っているものがプロだと思いますので、私は長打力や打撃でアピールをして憧れをもってもらいたい」と意気込んでいる。

 チームの優勝と3年連続の最多本塁打を目指すみなみ選手。あくなき探求心を貫き、女子プロ野球の歴史に名を刻むスラッガーの道を目指していく。