インタビューに応じる加藤優選手



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 今年3月に発表された日本女子プロ野球リーグの「美女9総選挙」で2連覇を達成するなど、「美しすぎる女子プロ野球選手」として話題を呼んでいる加藤優選手(埼玉アストライア)。実力の面でも、今季は打率.382の好成績をマークし、春季リーグ・打撃部門の優秀選手を受賞。巧打の左打者として急成長を遂げているが、その加藤選手にこれまでの野球人生を振り返っていただいた。

身振り手振りを交えながら質問に答える加藤優選手

■幼少期に学んだ「バットを振り続けること」の大切さ

 父・文彦さんが立ち上げた少年野球チームの秦野ドリームスで野球を始めた加藤選手。母がマネージャーを務め、4歳上の兄も野球をしていたという野球一家に生まれたこともあって、5歳になった頃にはチームに所属しグラウンドを駆け回っていたという。

「小さい頃は『楽しく野球をやろう』という感じでしたね。ただ、小3くらいからは練習もきびしくなって、父からは『継続することが大事だ』と散々言われました。継続して努力をすれば、結果は出る。たとえ結果が出なくても、自分自身に納得することができますからね。そうやって、小学生時代に毎日バットを振り続けることの大切さを教えてもらえたことは、現在の自分にも役立っていると思います」

 プロを目指すきっかけとなったのは、アマチュアの強豪・アサヒトラストの一員として高校3年の時に出場したジャパンカップだった。
「それまではプロよりも日本代表になりたいという気持ちが強かったんですが、対戦した京都フローラは技術が高く、スピードもあって、めちゃくちゃ強かったんです。それで、『私もプロへ行けば、もっとレベルアップできるんじゃないか』と思ったんです」

 高校卒業後、一度は就職したものの、プロ入りの夢を叶えるために退職。その後、1年間はアルバイトをしながら練習に励んだ。
「その決断については両親も賛成して後押しをしてくれました。だから、プロテストに合格した時はうれしいというよりもホッとした気持ちが強くて、私自身よりも父や家族の方が喜んでいましたね」


■オーバーフェンスのホームランを放ち、親孝行がしたい

 こうして埼玉アストライアに入団した加藤選手。だが、思うように打撃成績は上がらず。また、プロ入り前からそのビジュアルが注目され、頻繁にメディアに取り上げられていたことも負い目となっていた。
「試合に出ていないのにイベントには呼ばれていたので、やっぱり周囲からの声が気になっていました」

 そんな精神面の弱さや焦りが悪循環を呼び、2年目には大スランプに陥った。しかし、メンタルトレーニングを受け「自分のやれることをやればいいと思えるようになったんです。そうしたら、周囲のことも気にならなくなりました」と、自分の気持ちをコントロールできるようになったことで復調。さらに、元オリックスの福留宏紀コーチの指導もあって、プロ3年目のシーズンとなった昨季は自身初となる3割を記録。今年4月には節目となるプロ通算100安打も達成するなど、着々とキャリアを積み上げている。

また、加藤選手といえば、シンガーソングライターとして歌手デビューしていることでも知られる。

「野球に専念するために辞めようと思ったことは何度もあるんですけれど、ストレス発散になるので、今は辞める必要はないなと思っています。小学生の頃から人前で歌うのが好きで、高校生の時にギターも始めましたし、今年の誕生日にはキーボードも買いました。パソコンで作曲もできるようにしたので、今はウハウハです(笑)」

 ツイッターでは、歌っている場面を収めた動画を見ることもできるが「歌の動画はたくさん拡散してもらえているので、一緒にリーグ戦の日程も載せてアピールしています。やっぱりプロとして、女子野球を広く知ってもらうことが私の一番の目標ですから」と、プロ野球選手としての自覚は忘れていないようだ。

 そして、加藤選手の今後の目標の一つになりそうなのが本塁打だ。
「『球場が違えばオーバーフェンスだったのに』という打球はあるんですが、ホームランはまだ打っていないんです。私はパワーがあるタイプではないので、もちろんホームラン狙いのバッティングはできないんですけど、実はプロ入りが決まった時に父から『いずれはホームランが見たい』と言われたので、親孝行ができればいいですね」

 父から多くの薫陶を受け、プロ入りという大きな目標を達成した加藤選手。その「父への恩返し」という思いを秘めつつ真摯にプレーする姿は、ファンの目をさらに惹きつけることになるだろう。

笑顔でピースをしてくれた加藤優選手

取材:大平明
撮影:高校野球ドットコム編集部