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 女子高校野球の強豪・埼玉栄高校のクリーンナップを任され、昨年はU18強化プログラムの選抜メンバーに選ばれた藤田捺己(ふじたなつみ)選手。チームメイトからの大きな期待を背負う中で、打席に立ち続ける藤田選手であるが、今年3月に行われた全国高等学校女子硬式野球選抜大会では、自分本来の打撃が出来ずに悔しさが残る結果となった。

 今回はそんな藤田選手にインタビューを行い、この春の悔しさを振り返ってもらいながら、夏に向けた取り組みに迫った。

【憧れの埼玉栄へ越境入学】

 兄の影響で、小学1年から野球を始めた藤田選手は、中学では棚倉中野球部と、県内唯一の中学女子軟式野球チームである福島ピーチガールズに所属して野球に打ち込んできた。
福島ピーチガールズではエースで4番を任され、棚倉中でも男子に交じっても4番を任されるほどの長打力を武器に活躍した。

 埼玉栄への進学を決めたのは、小学生の頃から、女子高校野球の強豪として君臨し続けた埼玉栄に憧れを持っていたためだ。
「とても強いチームだったので、あのユニホームを着たいとずっと思っていました」

 憧れの埼玉栄に入学後も、藤田選手はすぐに試合出場の機会を掴み投打で活躍を見せた。特に夏の全国大会では、決勝戦で先発マウンドを任されると、完封勝利を挙げて全国制覇に大きく貢献した。

 一見、順風満帆に見える藤田選手の野球人生であるが、実はこの春悔しい思いを味わった。
「練習では打てていても、試合で打てないことが多くなりました。狙い球が来るとわかっていても手が出なかったり、練習で打てているコースが試合では打てなかったりと、春の大会も自分だけ打てていない状況がありました」

 チームを率いる鈴木佑監督も、藤田選手の状態には心配する様子を見せる。
「潜在能力は高いので伸びしろがあることは魅力ですが、逆を言えばまだまだ荒削りです。
練習通りに試合でもできればいいんじゃないかなと思いますけどね」

【コースに逆らわない打撃で潜在能力の開花へ】

 現在の藤田選手の目標は、非常に明確だ。
試合では本来の打撃ができない原因として、コースに逆らわずに打つことが出来ていないと分析しており、課題の克服に向けて練習を重ねている。

「色んなコースに手を出すと、バッティングフォームが崩れてしまいます。一番好きなコースはインコースなので、インコースのストレートが来たときに思い切り引っ張ることを心掛けています」

 また藤田選手は、投手としても更なる活躍をしていきたいと語る。実は藤田選手は、1年時に肘を怪我し、また2年生の時にも肘と肩の両方を怪我した経験があり、ここまで投手としては満足に投げ込めていないのだ。

「やっぱり投手としてもどんどん活躍をしたいですね。今は各バッターに対して、ギリギリのインコース攻めるためのコントロールを身に着けることが課題ですね」

 1年夏の全国優勝から始まった藤田選手の高校野球生活であるが、残りの全国優勝のチャンスは1回となった。そんな藤田選手に、最後の夏に向けた意気込みを伺った。

「1年生の時に全国優勝を経験して頂点の景色を見れましたが、それ以降は見ることはできていません。3年生でも優勝して、笑って女子高校野球生活を終わりたいです」

 その潜在能力をこの夏に開花させることが出来るか、注目だ。

文・写真/栗崎 祐太朗