-野球女子の記事一覧はこちら- 

 女子硬式野球ユース大会と全国高等学校女子硬式野球選抜大会を制し、全国高等学校女子硬式野球選手権大会を含めた3冠に王手をかけている神戸弘陵。創部6年目と歴史は浅いが、これまでに3大会で6度の優勝を飾っている。

 OGにも春季リーグで最優秀投手賞に輝いた龍田美咲(京都フローラ)をはじめ、一尾星吏夏(愛知ディオーネ)や水流麻夏(埼玉アストライア)などプロで活躍する選手を輩出。高校の女子野球部が急速に増えてきた中で強豪校としての地位を着実に築きつつある。

■日々の生活を重視してユース大会と選抜を制す

 石原康司監督に強さの秘訣を聞くと、「特にないですよ」という答えが返ってきた。取材に訪れた日の練習メニューはフリー打撃の後にシートノックと他のチームとなんら変わりはない。そんな中で石原監督が意識しているのが、日々の生活だ。

 「寮生活、学校生活、クラブの中での仕事、全てがプレーに繋がるということで、日々の取り組みを大事にしています。野球の技術よりも人間性。何もかも上手くいくことはないので、エラーやアクシデントをどうカバーしていくかだと思います。それを含めての日頃からの取り組みが大事です」

 野球だけでなく、日頃の生活が試合でのプレーに表れると石原監督は考えている。寮生活や学校生活が乱れている選手には背番号を託せないというのが神戸弘陵の方針だ。

 このチームは互いに助け合いながら勝利を収めてきた。ユース大会ではエースの佐伯絵美(3年)が直前に腰を痛めるアクシデントで登板を回避。代わりに控えの池上明里(3年)と松本桃(3年)が奮闘して決勝まで勝ち上がった。決勝では復調の傾向にあった佐伯が7回二死から登板。最後の打者を三振に打ち取って、歓喜の瞬間を迎えることができた。

 そして選抜では「仲間への恩返しを掲げて冬は頑張ってきました」という佐伯が大車輪の活躍を見せた。全5試合を投げ抜き、1失点と獅子奮迅の活躍。クラーク記念国際との決勝ではスコアレスの展開が続いたが、7回裏に副主将の米谷奈月(3年)がサヨナラ打を放って連覇を勝ち取った。

■注目のルーキーを迎え入れて悲願の3冠を目指す

 次なる目標は3冠だ。昨年もユース大会と選抜を制したが、夏はまさかの初戦敗退に終わっている。ライバル校は“打倒・神戸弘陵”で向かってくるため、夏を勝ち上がるのは簡単ではない。悲願の3冠に向けて石原監督はチームの底上げを課題に挙げているが、それに一役買っているのが島野愛友利(1年)だ。

 中学時代は大淀ボーイズのエースとしてジャイアンツカップ優勝に導いた島野は現在、投手だけでなく、野手でも戦力として期待されている。実力的にも申し分ない島野だが、それ以上に野球に対する姿勢でチームにいい影響をもたらしていると石原監督は言う。

「彼女は実績を鼻にかけてないんですよ。手本になるし、文句のつけようがない。一生懸命やっています」

 期待の新入生も入部し、夏に向けて戦力を着実に整えつつある。「勝つだけじゃなくて、マナーなども含めて女子野球界をリードできるようなチームであり続けたいです」と話す石原監督。名実ともに女子高校野球界の盟主となるためにも3冠は絶対に譲れない。