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 昨夏の第22回全国高等学校女子硬式野球選手権大会で初めて決勝に進出し、準優勝という素晴らしい結果を残した横浜隼人(神奈川)。今春の選抜大会でもベスト8まで勝ち上がるなど着実に実力を付けてきているが、その横浜隼人女子硬式野球部の取り組みについてお話をうかがってきた。

 元々は軟式野球部として創部し、2012年に硬式へ転じた横浜隼人女子野球部。現在の部員は37名で、寮などはないため地元の選手たちが集まっているという。軟式時代からチームの指揮を執っている田村知佳監督は、そんな選手たちを「とにかく野球が好き」と評しており、その言葉の通り、朝7時頃から部として朝練を週3回行っているがそれだけでは飽き足らず、毎朝、自主的にやってきて練習をしている選手もいるという。

 そんな横浜隼人のチームカラーは「明るく、元気」。小宮春菜主将(3年)もそんな雰囲気に惹かれて入部した一人で、「横浜隼人でプレーしている先輩たちを見て、『楽しそうだな』と思って入りました。今も、元気に笑顔でプレーするのが私たちの強みだと感じています」と話す。また、「上級生から下級生へ積極的に話しかけるようにして、下級生も話しやすくなるように心掛けています」と学年間にカベを作らないように意識しているようだ。

 その一方で、田村監督は「今の子供たちは放っておくと他人に興味を持たない選手が多いんですよね。でも、高校の仲間とは一生、付き合っていくことになると思いますし、『一緒に頑張れて良かったな』と思える仲間を作ってほしいですよね。それに『やらせれば、できる子たち』なので、コミュニケーションをとるきっかけとして『このケースではどう動くのか』と問いかけたり、ルールについての問題を出したりして、お題を与えることで話し合いをさせるようにしています」。こうした取り組みの結果、今では選手たちが自主的に集まってミーティングをするようになり、「こういう練習がしたい」と提案してくるまでになったという。

 また、戦術面では足を使った野球が持ち味だ。「グラウンドを広く使えるのが週1日だけで、バッティング練習がなかなかできないため、攻撃面では走塁を重視しています」(田村監督)。小宮主将も「走塁で相手をかき乱して得点を奪うのが私たちの戦い方なので、普段の練習でもノックの時はランナーを付けますし、盗塁でスタートを切る練習をしたり、ベースランニングやオーバーランの技術を磨いたりして常に次の塁を狙えるようにしています」と高い意識を持っている。

 その成果が出たのが、今春の全国女子硬式野球選抜大会。初戦で強豪・福知山成美(京都)と対戦した横浜隼人は5対3で見事に勝利を飾ったが、ポイントとなったのは初回の攻撃。先頭打者が出塁すると、すかさず二盗に成功。さらにバントで三塁へ進んだ走者を小宮主将が犠牲フライでホームへ迎え入れ、「初回から自分たちのリズムで先制点を奪えたのでベンチは盛り上がりましたし、その良い流れのまま試合を進めることができました」(小宮主将)と全国の舞台でも自分たちの野球をすることができたのだった。

 そして、夏の全国女子硬式野球選手権は7月26日に開幕した。奇しくも横浜隼人は1回戦で福知山成美と対戦することが決まっている。「頭を使った相手の隙を突くプレーをして勝ちたい」と小宮主将。田村監督も「大会までに技術と精度を高めて福知山成美に勝ち、春の優勝校の神戸弘陵(兵庫)と同じグラウンドに立って戦いたい」と闘志を燃やしている。
昨夏を上回る日本一を目指し、ひたむきに練習に励む横浜隼人女子硬式野球部。「女子は男子に比べてパワーがないだけで、あとはすべて一緒です」と田村監督が話すように、白球に懸ける情熱も男子と何ら変わりはない。

文・写真=大平明