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 今年の全国高等学校女子硬式野球選手権大会で準優勝した履正社でエースを務めている廣瀬未夢(2年)。夏の選手権では決勝戦のマウンドに上がったが、最終回のリードを守れなかったリベンジに燃えている。

【廣瀬未夢投手】

 野球を始めたのは小学1年生の時。福知山成美で外野手として活躍し、現在は大阪工業大で野球を続けている2歳上の兄・一希さんの後を追って、軟式野球チームの諸福スパイダーズで野球を始めた。「他にいなかったから」という理由で小学2年生から投手を始め、現在に至るまで投手として野球人生を歩んでいる。

 中学時代は東大阪シニアでプレーした。1学年上には高校の先輩でもあり、阪神からドラフト2位で指名された井上広大がいた。「優しい先輩でした」と当時の印象を振り返る。

 廣瀬の代は約30人と選手の数が多く、チームも強かった。投手だけでも7、8人いて、序列も下の方。「試合で投げた経験は少なかったです」と男子の壁の高さに直面した。

 高校は家から通うことができ、中学時代にシニアリーグに所属する女子選手で結成したチームで対戦した経験のある履正社に進学を決めた。専用グラウンドや夜間照明のある恵まれた環境で野球に打ち込んでいる。

【マウンド上で笑顔を見せる廣瀬未夢投手】

 投手としては最速110㎞前後のストレートにスライダー、タイミングをずらすカーブ、決め球として使っているチェンジアップを投げ分ける。「テンポよく投げることを大事にしています」と小気味いいピッチングを評価されて、下級生から投手陣の一角に食い込んだ。

 今夏の選手権大会決勝では1点リードの5回裏から登板。5回、6回を無失点に抑えて、2点リードで7回裏のマウンドに上がった。この時の出来事を「緊張しすぎて、あまり覚えていない」と振り返る。

「投げる度に緊張して、ストライクが入ったらホッとしていました。気持ちが焦っていたと思います」

 なんとか二死まで奪うことができたが、満塁から2点タイムリーを浴びて同点とされてしまう。あと一つのアウトを取ることができずに廣瀬はマウンドを降りた。その直後にマウンドに上がった先輩投手がタイムリーを打たれてサヨナラ負け。初優勝目前で涙を呑んだ。

 この悔しさは自分たちで晴らすしかない。新チームでエースとなった廣瀬は翌年へのリベンジに燃えている。

【ポーズを取る廣瀬未夢投手】

「この悔しさを自分たちの代で活かして、優勝を狙うためにチームを引っ張るピッチングをしようと思っています。これまでは打たれたら焦ることもあったんですけど、気持ちでいかないといけないとこの夏でわかりました。自分が強気なピッチングをしたら周りも絶対に守ってくれるので、自信を持ってピッチングをしていけたらと思います」

【ブルペンで投球練習をする廣瀬未夢投手】

 卒業後も野球を続けたいと考えている廣瀬の憧れの投手が、2学年上のエースだった石村奈々。昨年WBSC女子野球ワールドカップにも出場した実力者だ。石村が所属している履正社レクトヴィーナスとは同じグラウンドで練習しており、偉大な先輩の背中を見ながら練習に励んでいる。

「どこに投げていても目立つようなオーラのあるピッチャーになりたいです」と理想の投手像を語る廣瀬。来年は歓喜のマウンドに立って、誰よりも目立つつもりだ。

【ブルペンで投球練習をする廣瀬未夢投手】

取材=馬場 遼