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 今年の全国高等学校女子硬式野球選手権大会と全国女子硬式野球ユース大会でともに4強入りした福知山成美。全国屈指の強豪校で主将を務めているのが伊澤凜(2年)だ。1年生の頃から肩の故障に悩まされているが、広い視野と元気でチームを支えている。今回は伊澤に主将として心掛けていることや今後の意気込みなどについて伺った。

【インタビューに答える伊澤凜主将】

 2歳年上の兄・毅都さんの後を追うように小学2年生で野球を始めた。小学生時代は所属していたオレンジイーグルスと江戸川区の女子選手選抜である江戸川エンジェルスで主将を務め、早くからキャプテンシーを発揮。江戸川エンジェルスでは東京大会を制して、NPBガールズトーナメント出場に導いた。

 中学時代では今年、プロ野球を引退した阿部慎之助の出身チームである浦安シニアでプレー。15歳までは東京で過ごしたが、高校は遠く離れた福知山成美への進学を選んだ。

「レベルの高いところでやりたいと思っていました。成美は環境も整っていて、監督さんからも野球だけでなく人間性も学べて、自分のためにもなると思ってここに来ました」

 初めて親元を離れての生活だったが、中学時代から顔なじみだった選手がいたこともあり、すぐに順応することができた。中学時代までは投手と内野手を兼任していたが、高校から捕手に転向。しかし、昨年6月に右肩を亜脱臼してからは選手として思うようなプレーはできていない。夏の選手権はベンチ入りできず、スタンドから声援を送っていた。

【ティーバッティングをする伊澤凜主将】

 新チームになってからしばらくは主将が決まらず、他の選手が仮の主将を務めていた。ユース大会の準決勝で敗れた後に長野恵利子監督から主将の座を託されたが、「まさか自分がなるとは思わなかったので、驚きでした」と振り返る。

 肩の状態もあり、試合に出られない状況が続くが、今の立場だからこそ心掛けていることがあると話す。

「一歩引いたところから周りを見られるようにしています。また、プレーが引っ張ることができていない分、声で引っ張らないといけないので、全員がどうしたら盛り上がるのかを考えています」

【ボールを呼ぶ伊澤凜主将】

 練習中は率先して声を出している姿が印象的だった。伊澤は今年のチームを「個性豊かで全員が明るく元気なチーム」と表現したが、その空気は伊澤が作っているように感じられる。レギュラーでなくとも、周囲から信頼されている理由がそこにあった。

 もちろん、選手として試合に出ることも諦めてはいない。肩の状態は冬が明けた頃には完全に投げられる予定だ。春以降に一選手として活躍すべく、この冬に懸ける想いは強い。

【伊澤凜主将】

「最後なので、悔いのないようにしたいです。冬のトレーニングできついこともあると思いますが、仲間と励ましあいながらやっていきたいです」

 これまで苦しんできた分、最後の年はプレーでもチームに貢献するつもりでいる。まずは3月の全国高等学校女子硬式野球選抜大会での優勝が目標だ。「まずは春優勝して、夏に繋げられるようにしたいです」と意気込む伊澤。ラストイヤーでの飛躍に期待したい。

記者:馬場 遼