【撮影:戸嶋ルミ】-Global Baseball Bizの記事一覧はこちら- 2019年7月から千葉ロッテマリーンズに加入した、レオネス・マーティン選手。来日する約1ヶ月前まではクリーブランド・インディアンスに所属していたメジャーリーガー…

【撮影:戸嶋ルミ】

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 2019年7月から千葉ロッテマリーンズに加入した、レオネス・マーティン選手。来日する約1ヶ月前まではクリーブランド・インディアンスに所属していたメジャーリーガーだ。

 メジャー時代は日本人選手、特に元チームメイトでもある上原浩治氏との交流についてインタビュー前編にて紹介した。後編では日本の野球について、そして新しい我が家である千葉ロッテマリーンズへの想いをお伝えしたい。

>インタビュー前編はこちら 
上原浩治との思い出を胸に 千葉ロッテマリーンズ レオネス・マーティン選手インタビュー【Global Baseball Biz vol.22】

■メジャーを知る監督の下だから活きるこれまでの経験

 7月下旬ともなれば交流戦やオールスターも終わり、新人選手も少しづつ慣れた様子を見せ始める頃。そんなシーズン途中からの加入となったマーティン選手だが、すでに出来上がったコミュニティの中に飛び込むことに苦労はなかったのだろうか。

「日本の野球とキューバやアメリカの野球には違いがあると思いますが、(日本の野球に)早めに対応出来たのは、コーチのおかげでもありますし井口監督の存在が一番大きいと思っています。井口監督はアメリカの野球も日本の野球を知っているので、とても理解があるんです」

【写真提供:共同通信社】井口、9号含む2安打 カブス戦の8回、右越えに本塁打を放つホワイトソックスの井口=リグリー・フィールド

「僕はもう31歳になったのですが、井口監督は僕の年齢や経験を考慮して、若手の選手と同じ分・同じ量の練習内容を課してくるようなことはありません。『ここはしっかりやってほしい』とか『ここは休んでも問題ない』というように具体的に指示してくれて、途中加入の自分でもやりやすい環境を作ってくださっているのでとても助かっています」

 日本の野球の練習はメジャーに比べて試合前の全体練習が長かったり、未だに精神的鍛錬の要素が色濃く残っていたりするという。試合で結果を出すための練習だが、試合に出る前に練習で疲弊してしまっては元も子もない。また、メジャーの練習方法を知識として持っているのと、実際に経験しているということには大きな差がある。指揮官がメジャー経験者であるというアドバンテージは、こういうところにも活きてくるのであろう。

■マリンスタジアムと、マリーンズのファンが大好き

【撮影:戸嶋ルミ】

 日本の野球の話をするマーティン選手の表情は、終始明るかった。日本に来てよかったかを判断するには時期尚早だが、今の時点で日本野球の気に入ったところがあるかを尋ねてみた。

「ファンのみなさんです。シーズンは長いので、選手は調子が良いときも悪いときもあります。でもファンのみなさんは、本当に毎日、どんなときも声援を送ってくれるのでモチベーションに繋がります。日本に来て、最初に好きになったところはファンのみなさんです」

 また、「ホーム球場でも遠征先でも、マリーンズのファンだけでなく他のチームのファンの方も僕を見かけると『マーティン!』と声を掛けてくれますね。日本に来てまだ僅かな期間なのに、僕に興味や関心を持ってくれることはとても光栄です」と、ファンとの交流を楽しんでいることも語っていた。

■「僕はこの歌をずっと聞いていたい」

 マーティン選手は最後に、マリーンズのファンと自分の応援歌についてこう語った。

「想像したことがなかったんです、”自分の歌”があるなんてことを。日本に来てみんなに応援歌を歌ってもらって……本当に感動しました。応援歌を聞くとすごくモチベーションが上がるんです。キューバやアメリカを含め長いこと野球をやってきたけれど、こんなに間近で、こんなに応援してくれるファンの人は今までどのチームにもいませんでした」

【写真提供:共同通信社】ロッテ―オリックス21  4回ロッテ2死一、三塁、マーティンが右越えに逆転3ランを放つ=ZOZOマリン

「日本に来てまだ短いですが、マリーンズのファンの方はすごく応援してくれて感謝しています。僕はこの歌を、ずっとずっと聞いていたい。野球選手としても一人の人間としても、こんなにたくさんの人に応援されるというのは本当に嬉しいことです。日本に来て得たこの感動は、生涯忘れることはないと思います」

 野球選手としてキューバ・アメリカ・日本と3カ国渡り歩いたが、個人応援歌を”プレゼント”してくれたのは、マリーンズファンが初めてだった。球場に鳴り響く、生まれて始めてもらった自分の歌。そんな大歓声の中でプレー出来る喜びを、マーティン選手は日々噛み締めている。

「チームのためにやれることは何でもやる」という彼の決意の裏側には、早くも芽生えたマリーンズへの愛があった。2019年シーズンは応援歌が議論の的となることもあったが、日本の野球文化に根付いたものとして、そして選手にポジティブな力を与えるものとして大切に紡いでいきたい。

※取材日は2019年8月下旬
文:戸嶋ルミ