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 プロ、アマを問わず野球界にかかわるさまざまな人々にスポットを当てる連載。今回は、高校時代に“城島2世”として将来を有望視され、高校生ドラフト1位でプロの世界へと飛び込んだ荒川雄太氏が登場。現在は埼玉西武ライオンズでブルペン捕手を務める荒川氏に、現役時代の話を含め、ブルペン捕手としての心構えなどを聞いてみた。

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投手の動きをしっかり見ることが僕の役割<前編>【Baseball Job File vol.25】

■僕のモットーは投手の動きをきちんと見ること

──ブルペン捕手になられてから、気をつけていることはありますか?

いい音を出すとか、ピッチャーの気持ちを盛り上げるといったことは、ブルペンキャッチャーなら誰でも考えることで、最低限にやらなければいけないことだと思います。

僕の場合は、それらも踏まえた上で、ピッチャーの投球動作をきちんと観察することを大切にしています。

──どういう動きに注目するとかはありますか?

荒川 ピッチャーの細かい仕草とかではなく、全体をしっかり見るように意識しています。あと、動きを見るのは、自分が球を受けているピッチャーだけではなく、ブルペンに入って練習をしているピッチャー全員。

──ボールを受けている投手だけでなく、他の投手の動きも見られるというのは、大変な作業ですよね。動作を見ていて悪い箇所があれば、アドバイスすることもあるのでしょうか?

荒川 僕から、積極的に助言することはありません。ピッチャーから聞かれたときに、すぐに返事ができるように準備している感じです。

──大抵のブルペン捕手の方は、荒川さんのような考え方なのでしょうか。

荒川 これは、僕だけの意識ですね。ライオンズには僕を含め4人のブルペン捕手がいますけど、みんな考え方は違うんです。ブルペン捕手で集まってミーティングをすることもありませんから、みんな自分のやり方でやっていると思います。

僕はお世話になった先輩の田原(晃司)さんと、いろいろ話しているときに、見ることの大切さを再認識したので、大切にしようと思って貫いている感じですね。

■現役時代よりも今のほうが勉強になることが多い

──現役時代には気づかず、ブルペン捕手になってわかったことはありますか?

荒川 たくさんありすぎて、これって言えないんですよ。現役時代は自分のことで精一杯だったので、視野が狭く見えるものが少なかったんでしょうね。でも、今は現役選手に比べれば時間もありますし、周りもよく観察できる。見え方の違いっていうのが一番かもしれませんが、“なるほど”と思うことはたくさんあります。

──ピッチャーの考え方もよくわかるようになったとかもあるんですか。

荒川 そうですね。現役時代よりも話す時間も多いので、いろいろと発見することはありますね。だから現役時代より、今のほうがすごく勉強になると感じることは多いですね。

■一人でも多くの投手が活躍することが最大の喜び

──ブルペン捕手になられて、5年以上が経ちますが、一番のやりがいは何でしょうか?

荒川 やりがいとは違うかもしれませんが、先発が試合を作って、中継ぎが抑えて、最後にクローザーが抑えて勝つという流れでの勝利は格別ですね。今年の場合なら、最後に増田(達至)投手が抑えて勝利したときは、すごくホッとしましたから(笑)

もちろん、先発が完投、完封で勝ってもうれしいのですが、試合中にも接する時間が多いこともあり、中継ぎやクローザーが活躍する様子を見ると、よかったなという気持ちになりやすいのかもしれません。

──どんな立場であっても、ピッチャーの活躍する姿がやりがいにつながるわけですね。

荒川 一人でも多く活躍してほしいっていうことは、常に思っています。だからこそ、これからも投手を見ることは大切にしていきたい。

見ることって簡単なように思えますけど、意外と難しいです。見方を間違えると選手のためになることは言えませんから。

▼プロフィール
荒川雄太(あらかわ・ゆうた)
1984年10月14日生まれ、東京都出身。
小学生から野球を始め中学生時代には日本代表にも選出され注目を集める。
日本大学高校進学後も、強肩強打の捕手として注目を集め、2005年の高校生ドラフトで福岡ソフトバンクホークスに1位で指名されてプロ入り。
プロでは1軍昇格が果たせぬまま2010年に戦力外となったが、同年オフのトライアウトで結果を出し埼玉西武ライオンズと契約。
2012年に現役を引退し、翌年からブルペン捕手として活躍している。

取材・文/松野友克