<全国高校サッカー選手権への思い(上)>

冬の風物詩ともいわれる全国高校サッカー選手権の開幕を、心待ちにしている人たちがいる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今夏開催予定だった全国高校総合体育大会(インターハイ)が史上初の中止。高校野球も春、夏ともに甲子園の中止が決定した。現時点でサッカーの選手権は開催の方向で検討中だが、正式決定はしていない。高校サッカーで最高の舞台に立つことを夢見て、選手は準備を進めている。日刊スポーツでは関西の強豪3校を取材。3年生にとっては、ラストチャンスとなる夢舞台への思いを聞いた。

今日から3回、紹介する。

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京都橘には苦い思い出がある。今年の正月、前回大会初戦(1月2日)。鵬学園(石川)戦は、PK戦に持ち込まれ3-4で敗れた。1人目は失敗。次に蹴った現主将の中野晃弥(3年)もゴールを奪うことができなかった。「先輩に申し訳なかった」。悔しさは今でも胸の中に残る。

私立校とはいえ、練習環境に恵まれているわけではない。平日は学校から徒歩20分のグラウンドを借り、土日は土の校庭で陸上部と女子サッカー部との共有。校庭の半分を部員73人で使用している。中野は「(土だから)イレギュラーなボールにも反応できるようになりました」と前向きに捉えている。

4月上旬に今夏のインターハイの中止が発表された。チーム内では「最悪」「ショック」などの言葉が相次いだという。だが、その後「選手権に向けてやるしかない」という意見で一致。自粛期間はオンライン会議システム「Zoom」を使用しチームで筋力トレーニングに励んだ。現在は各学年1時間交代で練習を再開している。中野は「残りの時間、仲間と一緒にサッカーできる楽しさをかみしめてやりたい。先輩の思いを胸に、先輩を超える初優勝をしたい」と先を見据えた。

U-17(17歳以下)の日本代表候補にもなったFW西野太陽(3年)も選手権への思いは強い。徳島出身で、母と2人で部屋を借りて生活している。インターハイの中止は練習ができない程のショックだった。立ち直れたのは、両親の励ましがあったからだ。

「選手権で活躍している姿を見せたいです」。支えてくれた両親のためにも、冬の選手権開催を願った。【南谷竜則】