外国人監督が日本で成功を収めるには、日本人の特徴、及びこの国の文化をまずは理解しないといけない。少なくとも、かつて日本代表を率いたヴァイッド・ハリルホジッチ監督のように、ウイークポイントに着目してそこから鍛える、というやり方は日本人に適していないというのが、元日本代表である福田正博の見解だ。

「日本に来た外国人監督がよくやるのは、『これをやるな』と命令口調で伝えること。そうすると、日本人選手は本当にやらなくなっちゃう。例えば『ミドルを打つな』と言われれば、まったく打たなくなる。監督からすれば禁止するつもりはないのに、選手サイドは禁止と捉える。俺は何人もの外国人監督の下でやったけど、日本のことを知らない指揮官の場合は選手との間でそういうギャップが必ず生まれていた。

要は、発信の仕方だよね。今回のコロナ騒動でも海外ではロックダウンされたところがあったけど、きっとそうしないと言うことを聞かないからだと思う。一方、日本は休業要請、外出自粛で済んでいてロックダウンにならなかった。“強制”しないとダメなのか、“お願い”で大丈夫なのか、そのあたりを認識しないと日本では監督として成功を収められない。振り返れば、あの(アーセン・)ヴェンゲルさんも名古屋に来た最初の半年は苦労していた。毎日のようにチームの状況を把握できるクラブレベルで半年だからね。代表監督となると、もっと大変。例えば任期が4年だとしても、実質、選手に指導できる日数は1年にも満たないはずだからね」

 1992年に日本代表監督に就任したハンス・オフトがそこから短期間でダイナスティカップやアジアカップで優勝できたのは、それ以前にマツダ(現サンフレッチェ広島)でコーチや監督をやって日本人の特徴を十二分に理解していたからだろう。実際、オフト監督の下でプレーした福田も「日本人のメンタリティを知っていたから、チームの良いところを引き出してくれた」と実感している。

 日本人の良さと、海外の優れている点、その両方を熟知していたイビチャ・オシムが病気で日本代表監督を辞任してしまったことが、福田は残念でならない。

「海外での実績があって、千葉で結果を残したオシムさんは、いわゆるハイブリッド。日本人のポテンシャルを引き出し、チームを成長させるうえで打ってつけの指導者だった。だからこそ、オシムさんがワールドカップで日本代表を率いる姿を観たかった」

 病気に倒れることなく、オシム監督があのまま日本代表を率いていたら──。そう思うサッカーファンは決して少なくないだろう。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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