19年のラグビーW杯で史上初の8強入りに貢献した日本代表WTB福岡堅樹(27)=パナソニック=が14日、オンラインで会見し、7人制日本代表から引退し1年延期となった東京五輪出場を断念すると表明した。「後悔をしない人生を生きたい」と、公言してきた医師の道へ進むことを優先する。21年1月に開幕予定のトップリーグ(TL)には参戦する意欲を見せ、大学受験の時期や15人制を退く明確なタイミングは明言しなかった。

 日本が誇るスピードスターの決断に迷いはなかった。会見中に笑顔を見せる場面もあった福岡だが、真剣なまなざしで「一度、決めたタイミングを先延ばしたくない」と言い切った。

 東京五輪の延期が決まった時には、すでに7人制代表の引退も決意。「3月の合宿中、五輪延期(の話題)が浮上した段階で考え始めた。すんなりと受け入れられた。こういう運命だったのかな」と心境を振り返った。

 祖父が医師、父も歯科医。家族の影響も受けて、福岡は20年の東京五輪まではラグビーに専念し、その後は医師になるための勉強に集中すると明言してきた。「後悔したくない、後悔をしない人生を生きたい」と五輪断念の理由を説明。コロナ禍によって「改めて医学の道を目指したい気持ちが強くなった」とセカンドキャリアの意識を高めた。

 理想の医師像については「アスリートとしてやってきた経験を生かしたい。メンタル的にも寄り添える医者になりたい」と明かした。医学部受験で目指す大学や日程は未定だが「代表で活動する時間を勉強に充てれば、(ラグビーと)両立できる」と言い切った。

 今後、受験勉強に費やす時間を増やすことに変わりはないが、福岡は「来季のTLでプレーしたい」と意欲を示した。第一線でのプレーは来季TLが最後になるとみられるが、現役引退の時期については「決めたタイミングで改めて報告します」と話すにとどめた。

 なにより今は「まだ、パナソニックで優勝を経験していない。やるからには優勝」と意気込んでいる。トライ王を目指すか問われると「こだわりはない。チームが勝つことが一番」。昨年のW杯を熱狂させた“フェラーリ”のエンジンはまだ止まっていない。