新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて延期された東京五輪。本来はその開催に合わせて企画された特別企画展「オリンピックと寺山修司~スポーツと芸術が交差するとき~」が、青森県三沢市の寺山修司記念館で開かれている。寺山と五輪の関わりを解き明かす約140点の資料が並ぶ。10月18日まで。

 寺山は1964年の東京五輪の当時、都内に住み、街の変化を体感したという。五輪の光と影などを小説「あゝ、荒野」で描いた。かつての五輪では、世界の芸術展示も同時に開かれていた。72年のミュンヘン五輪の芸術展示では、寺山は自らが主宰する劇団「天井桟敷」を率いて参加し、野外劇「走れメロス」を上演した。

 展示会場には、寺山が愛蔵していた東京五輪の実況録音集オープンリールテープ、「あゝ、荒野」の初版本の付録「新宿荒野図」、ミュンヘン五輪芸術展示の写真パネルなどが並ぶ。このほか東京五輪マラソンの銅メダリスト・円谷幸吉の遺書を読んで感じたことを記した文章などもある。

 同館によると、寺山にとって五輪は「一番のテーマは『国の復権』ではなくて『人間の復権』なのだ」(寺山修司評論集より)という。

 同館の学芸員広瀬有紀さんは「意外かも知れないが、寺山とオリンピックは関わりが深い。難しいテーマをひとつの企画展にできました。芸術とスポーツとの関わりを考えるきっかけになると思います」と話している。

 入館料は常設展を合わせて一般550円、高大学生110円、小中学生60円。問い合わせは同館(0176・59・3434)へ。(横山蔵利)