6月9日、全体練習を再開させて1週間が経った川崎で、MF脇坂泰斗がオンライン取材に答えてくれた。

 大卒3年目の脇坂は、川崎アカデミーの出身でもあり、新たに背番号8を継いだ注目のプレーメーカーだ。今季から4-3-3(中盤は2枚のインサイドハーフとアンカーの構成)を導入したチームで、インサイドハーフを担い、大島僚太、田中碧らと中盤を牽引している。

 確かな技術力とプレービジョンを兼ね備え、さらなる成長を見込めるタレントだが、新型コロナウイルスの影響で、ピッチから離れた約2か月の活動休止期間には、興味深い取り組みをしてきたという。

「2か月空きましたが、自分がやるべきことは、身体の部分と、目、感覚を養うことだと考えていました。身体はトレーニングを積めば戻せると感じていたんです。ただ、感覚は間が空いてしまうとなかなか難しい。個人的には、練習が始まってすぐに目や感覚を“トップ”に持っていきたいなと思っていたので、海外のサッカーをよく見るようにしていました。

 日頃、僕らがやっているサッカーよりも速いサッカーを見て、トレーニングが始まった時に活かせるようにしたかったんです。実際に身体のところは体幹トレーニングなどが身になっていますし、感覚のズレもそんなになかったと思います。中断期間でやってきたことは間違っていなかったと実感していますね」

 

 ではどのような映像をチェックしてきたのか。「主にバルサ(バルセロナ)で、マンチェスター・シティも見ました」ということで、これは「海外の選手はどういう立ち位置でやっているか勉強したくて、(川崎が導入した)4-3-3にこだわった」からである。

 そこで当時、ポゼッションサッカーで欧州を席巻したバルセロナで、自らと同じ中盤3枚でのインサイドハーフを担ったシャビ、イニエスタのプレーを食い入るように観察し、新たなイメージを膨らませたという。

「自分が受けられなくても、周りの選手を活かすというのはバルサの選手はよくやっているなと感じましたね。僕がやっているインサイドの選手が引っ張った時に、アンカーの選手がそのスペースを埋めたり、そういった動きは意識してやるようになりました。うちはうちで、バルセロナはバルセロナなので違いはあります。ただ新たな幅というか、自分のなかで周りを受けさせる動きがイメージできるようになったという形です」

 となると、再開後には“生きた教材”イニエスタとのマッチアップも楽しみになりそうだ。そこは「ただ試合をできること自体が楽しみで、それ以上の楽しみはないというか、サッカーをできていることを本当に幸せに感じています」とかわされたが、中断期間で得たイメージをどう具現するのかは、大いに注目である。

「自分たちがボールを持って攻撃するスタイルは崩れませんが、やっぱり開幕2試合(ルヴァンカップの清水戦、リーグ開幕戦の鳥栖戦)で示したように、速い攻撃ができるようになったと思います。サイドに速い選手もいるので、そこの良さも活かしつつ、うちの特長である中からの攻めもできる。そこは観ている人たちにぜひ楽しみにしてもらいたいです」

 新システム導入の効果を語る背番号8が、キーマンになる――再開後はそんなシナリオも描けそうだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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