過去のメジャートーナメントにおいて列強国の代表チームでは一体誰が栄光の10番を背負ってきたのか。歴代の担い手たちはどんな結果を残してきたのか。10番の価値や意味合いなど各国の事情に触れながら、紹介する。

 ここで触れるのは、これまで数多くのメジャータイトルを獲得してきたドイツだ。

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 ドイツ史上もっとも10番らしい10番はネッツァーだ。卓越した技術と豊かなアイデアを兼備し、ブロンドの長髪をなびかせながら攻撃をクリエイトした。

 ベッケンバウアーとともに司令塔を担ったEURO72では代名詞のピンポイントパスを駆使し、準決勝のベルギー戦で2アシストを記録。ただ、自国開催の74年W杯で不遇をかこったため、代表よりボルシアMGでのイメージが強いだろう。

 このレジェンドとは対照的に、世界の祭典で主役を張ったのがローター・マテウス。攻守に如才なく、ファイティングスピリットも備えた"闘将"は背番号10として臨んだ初の国際大会、90年W杯で世界王者に輝いた。

 それぞれ80年、96年の欧州制覇に貢献したハンジ・ミュラーやトーマス・ヘスラーも忘れがたき名手で、フェリックス・マガトやトーマス・ドルとともに技術と創造性を持った古典的な10番に分類できる。

 一方で、期待を裏切ったのはラース・リッケンとメスト・エジル。前者はメジャー大会で唯一出番のなかったナンバー10で、後者は背番号8として輝かしい功績を残すも、10番をつけた18年W杯で早期敗退の戦犯に。

 時に「10番らしくない」と指摘されたが、エジルの前任者であるルーカス・ポドルスキは大舞台に滅法強かった。現10番のユリアン・ブラントは先人たちとは異なるドリブラータイプだ。

 以下は、主なメジャー大会でドイツ代表の10番を背負った選手たちと大会成績だ。ケビン・クラーニィやオリバー・ノイビルなど、やや地味な顔ぶれも並ぶ。

◆ドイツ代表のメジャー大会における歴代ナンバー10◆
1954年W杯(優勝) ヴェルナー・リーブリッヒ(DF/27歳/カイザースラウテルン) 大会成績:4試合・0得点・1アシスト

1958年W杯(4位) アルフレッド・シュミット(MF/22歳/ドルトムント)
大会成績:2試合・0得点・0アシスト

1962年W杯(ベスト8) アルベルト・ブリュルス(MF/25歳/ボルシアMG)
大会成績:4試合・1得点・0アシスト

1966年W杯(準優勝) ジークフリート・ヘルト(FW/23歳/ドルトムント)
大会成績:6試合・1得点・0アシスト

1970年W杯(3位) ジークフリート・ヘルト(FW/27歳/ドルトムント)
大会成績:3試合・0得点・0アシスト

1972年EURO(優勝) ギュンター・ネッツァー(MF/27歳/ボルシアMG)
大会成績:2試合・0得点・2アシスト

1974年W杯(優勝) ギュンター・ネッツァー(MF/29歳/R・マドリー)
大会成績:1試合・0得点・0アシスト

1976年EURO(準優勝) エーリヒ・ベーア(MF/29歳/ヘルタ・ベルリン)
大会成績:2試合・0得点・0アシスト

1978年W杯(ベスト8) ハインツ・フローエ(MF/30歳/ケルン)
大会成績:4試合・2得点・0アシスト

1980年EURO(優勝) ハンジ・ミュラー(MF/22歳/シュツットガルト)
大会成績:4試合・0得点・2アシスト

1982年W杯(準優勝) ハンジ・ミュラー(MF/24歳/シュツットガルト)
大会成績:2試合・0得点・0アシスト

1984年EURO(GS敗退) ノルベルト・マイアー(MF/25歳/ブレーメン)
大会成績:2試合・0得点・1アシスト

1986年W杯(準優勝) フェリックス・マガト(MF/32歳/ハンブルク)
大会成績:6試合・0得点・1アシスト

1988年EURO(ベスト4) オラフ・トーン(MF/22歳/シャルケ)
大会成績:4試合・1得点・0アシスト

1990年W杯(優勝) ローター・マテウス(MF/29歳/インテル)
大会成績:7試合・4得点・0アシスト

1992年EURO(準優勝) トーマス・ドル(MF/26歳/ラツィオ)
大会成績:4試合・0得点・0アシスト

1994年W杯(ベスト8) ローター・マテウス(MF/33歳/バイエルン)
大会成績:5試合・1得点・1アシスト

1996年EURO(優勝) トーマス・ヘスラー(MF/30歳/カールスルーエ)
大会成績:6試合・0得点・0アシスト

1998年W杯(ベスト8) トーマス・ヘスラー(MF/32歳/カールスルーエ)
大会成績:4試合・0得点・1アシスト

2000年EURO(GS敗退) ローター・マテウス(DF/39歳/メトロスターズ)
大会成績:3試合・0得点・0アシスト

2002年W杯(準優勝) ラース・リッケン(MF/25歳/ドルトムント)
大会成績:0試合・0得点・0アシスト

2004年EURO(GS敗退) ケビン・クラーニィ(FW/22歳/シュツットガルト)
大会成績:3試合・0得点・0アシスト

2006年W杯(3位) オリバー・ノイビル(FW/33歳/ボルシアMG)
大会成績:7試合・1得点・1アシスト

2008年EURO(準優勝) オリバー・ノイビル(FW/35歳/ボルシアMG)
大会成績:1試合・0得点・0アシスト

2010年W杯(3位) ルーカス・ポドルスキ(MF/25歳/ケルン)
大会成績:6試合・2得点・2アシスト

2012年EURO(ベスト4) ルーカス・ポドルスキ(MF/27歳/ケルン)
大会成績:4試合・1得点・0アシスト

2014年W杯(優勝) ルーカス・ポドルスキ(FW/29歳/アーセナル)
大会成績:2試合・0得点・0アシスト

2016年EURO(ベスト4) ルーカス・ポドルスキ(FW/31歳/ガラタサライ)
大会成績:1試合・0得点・0アシスト

2018年W杯(GS敗退) メスト・エジル(MF/29歳/アーセナル)
大会成績:2試合・0得点・0アシスト

※リストは本選出場の大会のみで、ワールドカップは固定番号制が導入された1954年大会以降、コパ・アメリカは1979年大会以降。W杯のチーム成績は出場国が16か国以下だった1978年大会まで、ベスト8に勝ち上がれなかったケースはすべて「本大会出場」に。年齢と所属クラブは大会開幕時

文●遠藤孝輔

※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年6月4日号より転載