新型コロナウイルスの感染拡大の長期化で、簡素化に向けた検討が進む東京五輪・パラリンピック。選手や観客の感染を防ぎながら開催することはできるのか。大会組織委員会は今秋から本格的な検討を始める予定だが、チケットを持つ人からは不安の声も出ている。

 「今のままの状況なら、東京五輪のチケットはキャンセルするしかないのでは」。東京都内に住む元都立高教員の男性(72)はため息をつく。サッカー女子の準々決勝など五輪のチケットを12枚、パラリンピックのチケットを4枚を購入。孫と一緒に観戦するのを楽しみにしてきた。

 電車に乗ったり、街中を歩いたりしても感染の恐れは感じないが、国内外でのサッカーの国際試合に何度も足を運んだ経験上、会場での観戦は不安が大きいという。

 入退場時に長時間、密集して並び、売店もトイレも大混雑。サッカーなら数万人が約2時間、肩を寄せ合うことになる。「10万円余のチケット代が無駄になっても、命や健康には代えられない」。身近な知人に「来夏なら五輪は開催できる」と話す人はいないという。

 組織委と国際オリンピック委員会(IOC)は来夏の大会開催に向け、それぞれコスト削減や新型コロナ対策を検討中だ。大会関係者によると、開閉会式の縮小など、検討項目は計250に及ぶ。

 感染防止には、人との間隔を2メートルほどあける「ソーシャルディスタンス」を保つことが重要だが、客席の間隔をあけようとすると、販売済みのチケットが問題となる。

 組織委によると、五輪観戦チケットは国内の一般販売で約448万枚、小中学生向けの「学校連携チケット」に約60万枚を販売している。大会関係者は「スポンサー向けなどを含めると国内分は全体の9割程度は販売済み」という。このほか、海外向けにも約200万枚が用意されている。