新型コロナウイルスの影響で各チームが活動を休止するなか、J2の山口は一足早く再スタートを切ることができた。5月11日に自主トレを開始し、同25日には全体練習を再開。

「当たり前の日常が少しずつ戻ってきたかなという感じがする。少しずつコンディションは上がってきている」

 トレーニング再開初日に画面越しでの取材に応じたFW村田和哉は安堵の表情が浮かべ、そう話した。

 清水や福岡などでプレーしてきた村田は今季から山口のオレンジ色のユニホームに袖を通す。ただ開幕戦はベンチにこそ入ったが、1点をリードした展開で、持ち前の決定力を発揮するような出番は回ってこなかった。


 それでも村田のキャラクターは山口サポーターには浸透済みだ。ソーシャルメディアの積極活用を唱え、中断期間もチームメイトの田中パウロ淳一とクラブの広報部との連係で発信してきた。

「こういう状況になったことでサッカーができるありがたさ、ファンとつながっていることが大きなものになった」

 中断期間をこう振り返る。もっとも、プロサッカー選手としての一番の見せ場はピッチの上。「全員の選手が今年に関しては必要になる」と話し、迫る6月27日のリーグ再開に向けて準備を急ぐ。
 プレーヤーとしての村田といえば、アタッカーとして、やはり決定的な仕事をするという印象が強い。開幕前から村田自身が「途中出場も多かったので、ここ一番の決定機を作ることとか、ドリブル突破は武器。そこは見てほしい」と語ったように、攻撃の最終局面にいかに顔を出すかが再開後のポイントになる。

 この特徴は、山口が浮上するためにも不可欠だ。2年前に上位進出の夢を見た山口だが、当時はオナイウ阿道(現・横浜)の決定力が後押しした。しかし、オナイウなき昨季は決定機を逃す場面が多く、上位に絡むことはできなかった。村田は山口に欠けていた勝負強さを補う存在として、期待が懸かる。

 とはいえ、スーパーサブに甘んじるつもりはない。8番という背番号はスタメンに名を連ね、90分出場してこそ輝くはず。村田は「今できることをしっかりやり、体力を蓄えていくことが大事」と話し、さらにこう続けてスタメン争いにも名乗りを上げる。

「選手全員の力が今年は必要になる。若い選手も、ベテランも、スタッフもひとつになって戦うことがJ1に昇格する近道。若いチームは飛躍する可能性もある。チャンスと捉えてやっていければ、すごくいいシーズンにできる期待感はある」
 若手を引っ張ることも村田の役目だ。今年の新体制発表では「山口は若い選手が多い。もっともっと自分の経験を教えていき、サッカーを通じて山口県を盛り上げていきたい。若い選手たちと一緒にやっていければと思う」と誓った。未曾有の事態にも前向きに取り組んできた村田の姿勢は、若手にも刺激になっただろう。

「この状況をプラスに捉え、みんながスタジアムに来られるようになった時に、苦しみを爆発させてみんなで喜びたい」

 チームの目標はJ1昇格で揺るがない。6月27日に再開するタフなシーズンに、村田の決定力とサッカーに向き合う姿が山口の力となる。

取材・文●上田真之介(フリーライター)

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