5月28日発売のサッカーダイジェストでは、「Jリーグ歴代最強チーム」と題し、現役選手や元日本代表など総勢50名に“歴代で最強だと思うチームトップ3”を選んでもらっている。ここでは98年フランス・ワールドカップで活躍した左サイドの名手で、現在は神戸のアカデミー部部長を務める平野孝氏の“トップ3”を紹介しよう。

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「平野孝氏が選ぶ“最強チームトップ3”」
1位:2001年のジュビロ磐田
2位:2017年の川崎フロンターレ
3位:1995年の名古屋グランパス

 僕が重視しているのは、11人が共通認識を持って組織的にサッカーができているか。その点で最高レベルだったのが01年の磐田です。

 11人全員が鋭い戦術眼を持ち、お互いを理解し合いながらプレーしていた。サイドを空けてしまうような変則的なシステムにもかかわらず、チームとして機能していたのは、全体の連動性がものすごく高かったからです。

 僕の感覚ですが、あれは守備から入るシステムだったと思います。名波(浩)さんを中心に、ハット(服部年宏)ら周りの4人がスライドしてピッチを広くカバーする。そしてボールを奪って攻撃に転じれば、サイドのスペースを活かして、流動的にポジションを変えながらボールを効率的に前進させる。

 名波さんが中盤の真ん中にいるシステムは、あのシーズンそんなに多くは使っていないんですけど、それでも新鮮でインパクトは大きかったですね。みんながサッカーというものを理解していて、複数のポジションをこなし、感覚が合う選手が揃っていたからこそハマりました。僕はサブでしたけど、ハイレベルな戦術を体現していたレギュラー陣の実力に感心しました。

 スタイルは違えど、17年の川崎も高次元でした。鬼木監督の下で個性が絶妙に組み合わさり、「1+1」が「3」にも「4」にもなるチームだった。序盤は苦しんでいた印象ですが、シーズンが進むにつれて、鬼木監督が求める理想像に徐々に近づいていった。

 ボールを前進させるために何をすべきか全員が分かっているような。(中村)憲剛を軸としたパスワークは観ていて楽しかったです。


 サッカーは団体競技なので、ひとりの選手が良いチームよりも、組織としての魅力があるチームのほうが僕は好きだし、それが最強だと思う。個々の能力、そしてそれを束ねる監督の手腕、そういうものがすべてミックスされたチームというのが理想です。

 そういったチームワークの重要性を僕に教えてくれたのが95年の名古屋でした。完成度では先に挙げた2チームには及びませんし、手前味噌ですけど、自分が出ていたこのチームは理想にそこそこ近かったなと。

 ストイコビッチら外国人選手も素晴らしかったし、そうした個性が上手く融合したというか、それぞれの役割と責任が明確になっていたんです。

 正直この時代はまだJリーグのサッカーは発展途上なところがあって、ベンゲルの戦術は斬新でした。一切の無駄がなく、オートマチックで効率的で。目から鱗でした。ベンゲルが落とし込んでくれた戦術のイロハが今、僕のサッカー観の基礎になっています。

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取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

※『サッカーダイジェスト』2020年6月11・25合併号より一部加筆・転載。
【詳細情報】2020年6月11.25日合併号