練習再開の喜びは、チーム全員に等しかろう。

「楽しいです」。岩崎悠人も他のチームメイトと同じように口にした。

「1か月以上ずっとひとりでトレーニングしていたので、こうやってみんなで集まって練習できる幸せを感じています。ボールを蹴るのが楽しくて充実しています」

 活動自粛期間では筋トレなどパーソナルトレーニングをオンラインで行ない、近所を走ったりと、自主的に身体を動かしていたそうだ。特に6年目を数えるというパーソナルトレーニングでは、筋力を落とさないよう意識しながら、あわせて動体視力の強化にも取り組んだという。

 今季札幌から期限付き移籍で加入した21歳の、この1年に懸ける想いは強い。

「結果を残さなければいけないシーズンになるので、得点は決めたい。アシストもつけたいと思っています。結果を出すことで信頼されて試合に使われていくと思うので、そこに照準を合わせてやっていきたいです」

 果たして岩崎は言葉のとおり、プレシーズンから仲間との連係を深め、持ち前の運動量やゴールへの推進力を意欲的に発揮した。トレーニングマッチでは得点も奪っている。そうして迎えた今季初戦のルヴァンカップ・大分戦ではスタメンに名を連ねるも、60分で退く。続く浦和とのリーグ開幕戦はベンチに控え、ゲーム終盤ピッチに立ったものの逆転負けを喫した。チームの結果を含め、満足なスタートとは言えなかっただろう。

 コロナ禍による活動休止から約2か月、湘南は感染拡大予防を徹底したうえで、5月27日にグループトレーニングを、6月2日に全体練習を再開した。そして7月4日にはいよいよJ1リーグが再開する。最初は無観客での開催となるが、サッカーのある日常に少しずつ近づいている。

 待望の公式戦の再開に向け、岩崎は言う。

「連戦になってくると思うし、この期間の身体や頭の準備が大事になると思う。再開してすぐ怪我したりしないように、集中してこの期間を過ごしていきたい。家族と連絡を取っていても、早く僕のサッカーが見たいと話していた。最初は無観客ですけど、いいニュースを届けられるように頑張りたいなと思います」

 豊かな走力を背景に、そのプレーは“活き”がいい。ドリブルで仕掛け、ひとりで局面を打開できる才もまた武器だ。延期となった東京五輪についても、「延びたからといって気持ちが浮き沈みすることはない。逆に準備期間が増えたと思っている」と冷静に話す。まもなく22歳を迎える若武者は、なにより目の前の試合で結果を出すことを胸に、リスタートを切る。

取材・文●隈元大吾(フリーライター)

【PHOTO】編集部が厳選!Jクラブの歴代「名ユニフォーム」を大公開!