マンチェスター・ユナイテッドに黄金期をもたらした指揮官、アレックス・ファーガソン。その名将に見出された伝説の世代が、「ファギー・フレッジリングス(ファギーの雛鳥たち)」だ。

 デイビッド・ベッカム、ライアン・ギグス、ポール・スコールズ、ガリーとフィルのネビル兄弟、ニッキー・バットら、いずれも下部組織から育った逸材たちは、代表レベルのスターにまで飛躍したことから、クラブ史に残る世代と評されている。

 その中でも、ファーガソンがとりわけ高く買っていたのが、スコールズだ。卓越した足下の技術と戦術眼、パスセンスを併せ持ったMFは、偉大なレジェンドのひとりとして、今なおファンの支持を集めている。

 スコールズが現役を退いたのは、2012-13シーズンの終わりのこと。2011年5月に一度現役を退いてから復帰していた名手は、当時39歳ではあったが、一部のメディアやファンの間では「まだやれる」という声も根強く残っていた。

 そうしたなかで、なぜスコールズはスパイクを脱ぐ決断を下したのか? 現地時間6月1日に英メディア『BT Sports』の番組に登場した本人が、引退を決めた瞬間を語った。

「一度復帰してから、さらに1年が経った時に監督は、私ともう一年の契約を交わそうとしてくれた。本当にありがたかったし、私自身も満足し、やる気はあった。けど、ホームでトッテナムとやった時に考えが変わったんだ。確かシーズンの3試合目か4試合目で、ホームで3-2で勝った試合だ。そこで引退しようと思うようになったんだよ」

 そのスパーズとの一戦でいったい何があったのか?

「トッテナム戦で私は問題ないようにプレーしていた。だけど、目の前でムサ・デンベレに悠々とプレーされ、ガレス・ベイル……。彼にはまるで大海原を航海するかのようにやられてしまったんだ。彼らが伸び盛りの若手だっていうのは理解していたけど、『もう無理だ。これ以上はできない』と感じさせられたんだ」

 さらにスコールズは「本当ならもっと早く引退したかった。シーズン中にね。愚かな奴には見られたくなかった」とも語っている。

 スコールズの二度目の引退は、本人が思っていたよりも早く訪れたようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部