■私の一冊「たったひとつの冴えたやりかた」(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著)

 大学時代に読んだ一冊を今また読み返しています。

 舞台は人間がヒューマンという宇宙種族として扱われる連邦宇宙。様々な種族が学ぶ大学の図書館に、コメノという種族のカップルがヒューマンの歴史を知りたいとやってきます。司書が渡した本の内容が、三つの短編になっています。

 例えばタイトルになっている「たったひとつの冴(さ)えたやりかた」。宇宙探検を夢見る少女コーティーは、誕生日に両親からプレゼントされた小型宇宙船で銀河へ旅に出ます。その旅で未知のエイリアンが彼女の頭に寄生してしまう。

 エイリアンとコーティーは旅を続けていくわけですが、やがてある秘密に気づく。エイリアンはヒューマンの脳を食い、増殖する習性がある、と。このまま旅から帰るとヒューマンは存亡の危機に。コーティーが下した決断とは……。本にある3編はどれも人間の献身の精神を訴えています。

 今、新型コロナウイルスで日本のスポーツ文化は危機的状況です。私たちは今こそ作者が描く「人間のあり方」を見習い、あらゆる垣根を越えて協力し合いながら、新時代のスポーツ文化を力強く切り開いていくべきではないでしょうか。(聞き手・坂上武司)

 〈まちだ・たつき〉 1990年、神奈川県生まれ。慶大・法大非常勤講師。2014年世界選手権銀メダル