<輝きを待つ東北魂>

昨年10月の東北選抜大会(山形)で団体優勝した秋田北鷹相撲部は、全国大会3位の目標を掲げている。同大会個人で頂点に立った斎藤晃良、同100キロ超級王者の佐藤貴規、昨年9月の新人大会を制した桜田航汰の3年生トリオを中心に、過去最強の手応え。今年3月の全国選抜(高知)、8月の全国総体(青森)は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、10月の国体(鹿児島・奄美市)開催を信じて、稽古を継続する。

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斎藤主将は上半身裸姿で筋力トレーニングし、汗まみれの体をタオルで拭いた。今月11日の休校明け以降は、平日1時間、土日2時間の制限もある。「3密」を可能な限り避けるために、まわしを締めての三番稽古などは週末限定。昨秋に同校初の東北王者となって以降、今年1月の茨城合宿中にも全国強豪が集った大会で団体優勝。「インターハイ3位を目指して良い感じで来ていたので残念でしたけれど、国体はまだ(開催の)可能性はあるので、北鷹の9人から5人で出場してトップ3に入りたい」。一時はすべてが手につかないほど落ち込んだ心を立て直し、再び前を向いた。

仲間は大学進学で相撲継続が内定しているが、斎藤にとっての真剣勝負は最後の舞台となるかもしれない。有名国公立私立を目指す特別進学コースで学ぶ物理や数学が得意な文武両道力士。「未知のことを見つけたり、計算して答えが出た時の達成感も楽しいなと思う」。将来は理系を生かした就職も夢見ており「とにかく完全燃焼するつもり。自分の力を最大限に発揮して、支えてくれた監督、コーチ、家族に恩返ししたい」と闘志を燃やす。

理想の姿は鋭い立ち合いで大きな力士を圧倒した元横綱日馬富士だ。「角界では小さいほうですがパワーも瞬発力もすごい。まわしを引いて出し投げなど魅力的」。斎藤の最大の武器は右前みつを引いた強さ。だが、重心が左に寄っていたため、相手に力が伝わらない弱点もあった。舘山孝監督の助言も受け、左からの攻めの強化に取り組み、前へ出る力も増して成績につながった。

同監督も「教えられたことはメッキ。自分で考えて取り組むことは養分になる。枝をつけ、花が咲いて、実になる。いつもはベスト8が目標だけれど本当に3番のチャンスがある。国体は『秋田北鷹』のゼッケンの上に『秋田』を付けたい」。左おっつけが得意な佐藤、突き押しの桜田を含めて切磋琢磨(せっさたくま)する姿に、たくましさを感じている。大将を担う斎藤も「2-2でまわってきても、どんな相手にも勝てる準備をしたい。内容はもちろんですが、要所での結果が大事」。春の全国舞台中止の悔しさを糧に、メダル獲得で大輪の花を咲かす。【鎌田直秀】

◆斎藤晃良(さいとう・あきら)2003年(平15)3月21日生まれ、秋田・横手市出身。大館市に転居後、有浦小1年で相撲を始め、大館東中でも北鹿館道場で稽古を積んで全中団体5位。秋田北鷹での個人最高成績は体重別100キロ未満で全国5位。173センチ、103キロ。家族は両親と弟、妹。