「そだねー」がその年の新語・流行語大賞になるなど、2018年平昌五輪で銅メダルを獲得したカーリング女子代表・LS北見の快進撃は、大ブームとなった。強さはもちろん、クセになる試合中の北海道の方言や、氷上での笑顔で空前のフィーバーに。本人たちも、ここまでの盛り上がりになると想像もしておらず、五輪後、ある選手と話した際には「まさか六本木で(顔が)気づかれるようになるとは」と笑っていた。

 現地では韓国の女優「パク・ボヨン」に似ていると、スキップの藤沢が注目の的に。韓国人のスタッフや警備員からも写真と握手を求められる人気ぶりだったが、忘れてはならないのが“もぐもぐタイム”。試合中、第5エンド終了後の休憩にフルーツなどを食べていたことで愛称がついた。

 正直、韓国・江陵の会場記者席から“もぐもぐタイム”の様子は死角に入り、気に留めていなかった。それが大会終盤になると日本の社内から問い合わせが続き、困惑した。4強入りした頃から選手もようやく日本での“もぐもぐ”の盛り上がりを認知し始めたが、「愛称までついちゃって」(本橋)と帰国後、初めて本当の注目度を知ったようだった。

 試合の時間帯によって、食べる種類は異なっていた。午前9時5分、午後2時5分開始の試合はフルーツ。よく登場した韓国産の大粒いちごは好評で「ビックリするくらいおいしかった」と選手たちは、栄養補給だけでなく味も喜んだ。

 そして、1日の2試合目が午後8時5分開始時だけ、有名になった地元・北海道のお菓子が登場した。カーリングは見た目以上にハードだ。1試合2時間30分~3時間で、1日2試合は当たり前。コンディション維持のため基本的に大会中はお菓子NG。ただ、朝に1試合行い、体力、集中力が削られた中で迎える夜の試合だけ、特別にお菓子が解禁された。短時間に少量で十分な糖分を補給可能なこと、そして「お菓子食べられるんだから頑張れ!」というチームスタッフのモチベーションアップの願いもあった。効果は抜群。お菓子が登場した試合は3戦全勝だった。

 スイーパー(掃き手)のリード・吉田夕、セカンド・鈴木はゼリーも口にした。スイーパーは1試合でバスケットボール1試合のエネルギーを消費する。ポジションによって体力消耗度は異なり、フルーツやお菓子だけでは後半にエネルギー切れが生じるからで、おのおのが必要に応じて、追加でもぐもぐした。五輪で11試合を戦ったカー娘。計算された“もぐもぐタイム”なしで銅メダルはなかった。(小林 玲花)

 ◆平昌五輪のカーリング女子日本代表 1次リーグ(L)5勝4敗で4か国による決勝トーナメントに進出。初戦は1次Lで勝利している“メガネ先輩”擁する地元・韓国だったが延長の大激闘の末、7-8で敗れた。3位決定戦は1次Lで黒星を喫している英国と対決。第9エンド(E)でようやくリードを奪うと、不利な先攻で迎えた最終第10Eは相手のミスショットも影響し、男女通じて日本勢初のメダルを獲得。平昌五輪を通じて日本勢最後のメダルだった。テレビ中継の瞬間最高視聴率は42・3%をマークした。

 ◆小林 玲花(こばやし・れいか)1993年10月28日、福井県生まれ。26歳。小学3年から高校3年までバスケ部。2016年入社。バスケットボール、体操、スポーツクライミングなどを担当。18年平昌五輪を現地で取材。