コロナ禍により、大相撲夏場所は延期案を経て、中止が決まった。日本相撲協会の苦渋の決断だが、力士らは下を向かずに無観客での東京開催を目指す7月場所(同19日初日)へ目標を切り替えた。スポーツ報知では本来なら夏場所初日だった10日から本場所と同じ全15日間、「大相撲報知場所」と題した連載で注目力士、角界の雑学などを取り上げる。

 元大関・把瑠都のカイド・ホーヴェルソン氏(35)が、母国エストニアで国会議員として奮闘している。現役時代は198センチ、189キロの巨体を生かした豪快な取り口と明るい性格で人気だったが、膝のけがのため2013年9月に28歳で引退。日本でのタレント活動などを経て帰国し、昨年3月に当選した。電話取材で現在の生活について聞いた。(取材・構成=斎藤 成俊)

 元把瑠都が、戦いの場を土俵から国会に変えた。13年秋場所前の引退後、タレント活動、格闘家を経て、エストニア大統領を夢みて18年5月に帰国。牧場や宿泊施設などを経営しながら、政界進出のタイミングを探った。

 「日本で15年間、たくさん勉強をして、エストニアのいろいろな部分を変えたいなと思った。変えるために国会議員になろうと思った」

 昨年3月、一院制議会(定数101)の総選挙で与党の中央党から出馬。次点で落選したが、その後、繰り上げ当選した。今年2月にはユリ・ラタス首相に同行して来日し、首相官邸や環境省での会議に出席した。

 「いまは地方の農業問題、そして警察の仕事をチェックをする担当です。日本では安倍(晋三)さん、小泉(進次郎)さんとも会いました。声をかけてくれる人がいてうれしかった」

 多忙な現在でも相撲を続けているという。

 「家の近くに相撲部があって月3回教えている。現役時代より膝の調子もいいよ」

 日本の大相撲も毎場所、ネットでチェックしている。注目力士には意外な力士を挙げ、元大関らしく、アドバイスを送った。

 「2年前から(現在幕内の)琴ノ若を応援しているんです。私が入門したときにお父さん(元関脇・琴ノ若、現佐渡ケ嶽親方)が現役でしたから、思いもあって。力もあり、動きもいいけど、もっと考えて相撲をとればもっと良くなる。若いし頑張ってほしいね」

 日本滞在時には大統領になる夢も語っていた。

 「大統領? 相撲で言えば、まだ(国会に)入門したばかり(笑い)。これからしっかり勉強して、エストニアと日本の懸け橋になりたい」

 自らの経験をフル活用して両国をつないでいく。

 ◆国会議員になった元力士 国内では元小結・旭道山が1996年、現役引退して10月の衆院選に新進党から比例選で立候補して当選。2000年衆院の解散に伴い、政界から引退した。モンゴル出身で元小結・旭鷲山も08年から12年まで母国の国会議員を務めた。

 ◆カイド・ホーヴェルソン 1984年11月5日、エストニア共和国ラクベレ県生まれ。35歳。2004年2月に来日し、把瑠都凱斗(ばると・かいと)として同年夏に初土俵。05年秋に所要8場所で十両昇進。06年夏、年6場所制以降初土俵で2位タイの速さ(ともに当時、幕下付け出しを除く)で新入幕。10年春場所後に大関昇進。13年秋場所前に引退。優勝1回、殊勲賞1回、敢闘賞5回、技能賞1回。通算431勝213敗102休。現役時代は198センチ、189キロ。得意は右四つ、寄り、つり、投げ。