<見た!撮った!映える!アスリート百景>

新型コロナウイルス感染拡大で外出自粛の「ステイホーム」が続いている。アスリートも同じだが、世界を舞台に戦ってきた、たくましい選手たちのスマートフォンなどには「これ!」というオススメの風景がある。“映え”る絶景や思い出の街、風景など、思い入れある1枚を随時連載で紹介する。

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【メキシコシティー】

新日本プロレスIWGPヘビー、インターコンチネンタル2冠王者内藤哲也(37)は15年5月にメキシコシティーで撮った写真を選んだ。

3枚は街の中心部にある名所のベジャス・アルテス宮殿。メキシコのプロレス、ルチャリブレの聖地アレナメヒコにも近いこの美しい宮殿は今でも「メキシコで一番好きな景色」だという。5年前、当時まださほど存在感を示せていなかった内藤は、4年ぶりにメキシコの地を踏み、毎日のようにこの宮殿を見ながら自分の人生を考えていたという。

「『ここで変わらなきゃ、このままトップに立てずに終わっていくんだろうな』と思いながらメキシコに行ったんです。試合は充実してて毎日楽しかった。でも、この後、日本に帰って勝負しなくちゃいけない。現実をみれば、かなり切羽詰まっている。そんな不安な状態だった俺にとって、この宮殿は、現実逃避できる唯一の癒やしスポットだった。それとともに『失敗することはできない、絶対成功しないといけない』と、より気持ちを強めてくれるものでもありました」

この写真を撮った後、自身のデビュー記念日でもある5月27日に内藤はスペイン語で“制御不能なやつら”を意味するユニット「ロス・インゴベルナブレス」に加入。そこで、自由で、ふてぶてしい言動をする新しいスタイルを見つけた。その後、日本でも「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」を結成し、大ブレーク。メキシコは内藤にとって大きな意味を持つ場所となった。

「僕の中の、間違いなくターニングポイント。メキシコがなければ、今の自分はなかったし、メキシコという国にもメキシコの人々にも、感謝してもしきれないぐらいの気持ちがある。最近も年に1回ぐらいは行っていて、最後に行ったのは19年3月。また、落ち着いたら行きたいなぁ…。メキシコといったら、やっぱりタコス。きれいなレストランみたいな専門店もあるけど、ポピュラーなのは路上に出ている露天のタコス屋さん。日本ほど衛生的で、きれいではないお店なんですけど、そういう路上のタコスを食べてこそ『メキシコだな~』という雰囲気を味わえる。気に入っている店もいくつかあるので、そこに行きたいですね」

もうすぐ、全てが変わり始めた“5・27”、あの日から、5周年。「自分の人生37年間のほとんどが、ロスインゴの時間だったような。それぐらい濃かった」。今年1月5日の東京ドーム2連戦では、オカダと2冠をかけて戦い勝利。キャリアの中で、最高の1年のスタートを切り、さらに上昇するつもりだったが…。

「『2020年は内藤の、ロスインゴの1年だった』と誰もが思う1年にしてやろう、そうできるとドームを終えた時に思ったんですけどね…。思い描いていたものとは違ってきちゃってるけど、この悔しさを、再開された時に一気に出します。やっぱり内藤の年だったよね、とさせてみせますよ」

◆内藤哲也(ないとう・てつや)1982年(昭57)6月22日、東京都足立区生まれ。06年5月デビュー。13年8月G1クライマックスで初優勝。メキシコ遠征から戻った15年に「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」を結成し、大ブレーク。16年4月にIWGPヘビー級王座初戴冠。現IWGPインターコンチネンタル王者。得意技はデスティーノ。180センチ、102キロ。