RIZINを振り返る7回目は2017年10月15日の福岡国際センター大会と12月29日のさいたまスーパーアリーナ大会だ。

 10月15日の大会では、前回大会で開幕した男子のバンタム級トーナメントに続いて女子のスーパーアトム級トーナメントが開幕。ヘビー級が主流だったPRIDEから変わって、RIZINは軽量級と女子が中心となる傾向が鮮明になった大会だった。

 ここでは、日本軽量級のライバルとなる“アンゴラ番長”マネル・ケイプ(アンゴラ)が衝撃的なRIZINデビューを果たす。第8試合のバンタム級トーナメント1回戦で元女子レスリング世界王者・山本美憂の長男、アーセンと対戦。前日計量では乱闘騒ぎを起こし、試合直前にも顔を近づけてアーセンをにらみつけるなど挑発的な行動を続けていたが、実力は本物だった。

 距離の探り合いからコーナーで組み合いとなり、両者の体が離れた直後の1分過ぎ。ケイプが繰り出した切れ味鋭い左ハイキックが、体を沈めようとしたアーセンの顔面を直撃。アーセンが崩れ落ちるように尻もちをつくと、レフェリーはすかさず試合をストップし、ケイプが1回1分11秒TKOで勝利。試合後、ケイプはリングを飛び出すと客席を駆け上って観衆とともに狂喜乱舞し、暴れん坊ながらも憎めない一面を見せた。

 第15試合では“キックボクシング界の神童”那須川天心が元アマチュアボクシングで全日本選手権など5冠を獲得した藤田大和と総合格闘技(MMA)ルールで対戦。那須川は、ボクシング出身ながらキックを繰り出し、組み付くなどMMAの能力の高さを見せた藤田に苦戦を強いられた。1回は寝ている藤田の顔面を踏みつけ、スタンディングでは右ストレートの打ち終わりに左ストレートをたたき込んで藤田を倒し、口から出血させるなど優位に試合を進めた。

 だが、2回には入ると、藤田のグラウンドに防戦一方。3回はスピーディーな打ち合いとグラウンドを繰り返す熱戦をくり広げたが、両者ともあと一歩攻めきれず時間切れ。那須川は3-0の判定でRIZIN参戦5連勝を飾ったものの、初めてKO、一本を逃した。

 メインイベント第16試合の女子スーパーアトム級トーナメント1回戦にはRENAが登場。16年大みそかの大会で山本美憂を破ったアンディ・ウィン(米国)を迎え撃った。相手は体重超過したが、RENAはものともせず。スタンディングで背後を取られて攻められる場面もあったが、打ち合いになると、左ボディーを中心に連打を浴びせる。最後は肝臓付近に左ボディーを突き刺してもん絶させ、1回1分35秒KOの快勝を収めた。

 フジテレビ系で中継されたこの大会の視聴率は7・1%(数字は関東地区、ビデオリサーチ日報調べ)と、7月の前回大会から0・8%、4月の前々回大会から1・7%増加した。そして、生中継された那須川と藤田のスリリングな戦いは、ここまでのRIZIN中継の最高となる10・3%、RENAの快勝劇も9・9%を記録。ゴールデンタイムとしては物足りないが、RIZINから生まれたスターが戦う度に世間の関心を高めていることが数字で表されたと言え、もう過去の“遺産”に頼ることはない、日本格闘技の新時代到来を予感させた大会だった。

 続く12月29日は、大会前に騒動が起こった。因縁のギャビ・ガルシア(ブラジル)-神取忍戦だ。2人は前年の大みそかにも対戦が予定されていたが、神取が直前に負傷欠場。今回は仕切り直しの一戦と注目を集めていた。だが、前日計量でギャビが12・7キロも体重超過。神取は憤慨し、「何だよ、これ!?」と怒鳴りながら会場を去って行った。前代未聞の大幅な体重超過とあって試合は中止。ギャビは大会当日のリング上で涙を流しながら土下座をして謝罪した。対戦がまたも流れた神取は「2人の体調が整ったら、ぜひ戦いたいと思います」とリング上で宣言し、ギャビと握手を交わしたのだが…。

 そして、この大会では将来のスターとなる男がまた1人、初参戦した。ジ・アウトサイダー初代55-60キロ級王者の朝倉海だ。第3試合で、伊藤盛一郎の負傷欠場により急きょ代役で出場した才賀紀左衛門と対戦した。

 1回は素早く伸びる打撃でK-1出身の才賀と互角以上に渡り合う。2回も打撃中心の戦いとなり、鼻血を出すなど苦しんだが、右左のフック連打でダウンさせると猛ラッシュをかけ、2回2分39秒TKOで勝利した。 不良同士が戦うことがコンセプトの団体出身とあって「レベルが低い」との色眼鏡で見られる向きもあったが、それを結果と内容で覆した海。ここから戦う度にじわじわとその名を知らしめていくのであった。(続く)