数々のスーパースターたちが活躍してきたプレミアリーグ。この世界最高峰のリーグで過去20年にプレーした選手に中から、ベスト11を選出した。選んでもらったのは、プレミアに精通する2人の熟練記者、スティーブ・スタマーズ氏とドミニク・ファイフィールド氏だ。まずは、スタマーズ氏の11人から紹介しよう。

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 監督は、2012-13シーズン後の勇退までマンチェスター・ユナイテッドで27年もの長期政権を敷いた“サー”・アレックス・ファーガソンしかいない。ゆえに布陣は、“御大”が最も重宝した4-4-2を採用した。

 肝とも言える中盤には、1999-2000シーズンに国内3冠を達成したユナイテッドから、ロイ・キーンとポール・スコールズをチョイス。前者が闘志を、後者が類まれな創造性を発揮していた。

 右サイドにはスティーブン・ジェラードを選出した。当時のユナイテッドの中盤に、このリバプールの“闘将”の迫力があったとしたら、それこそ本家アーセナルに負けないほどの“インビジブル(無敵)”なチームになっていただろう。

 中盤のもう1枠は、02-03シーズンに前人未到のプレミア無敗優勝を成し遂げたそのアーセナルからパトリック・ヴィエラ。監督の次点に選びたいアーセン・ヴェンゲルが指揮した最強チームの象徴とも言える存在だ。

 最終ラインのCBには、21世紀のファーガソン体制下で、守備の要となったリオ・ファーディナンド。その相棒は、現在“世界最高のCB”とも言えるフィルジル・ファン・ダイクを選出。ともにエアバトルにも、対人力にも優れた守備者だ。

 そんな屈強なCBコンビの両脇には、アシュリー・コールとローレン・エタメという攻守に存在感を発揮し、機動力も抜群なSBを入れた。そして守護神として、ゴールを守るのは、「セーフ・ハンド」ことデビッド・シーマンだ。


 最前線は、文字通り“最高の2トップ”だ。

 2003年の夏に1710万ポンド(約23億9400万円)で加入し、過去20年のプレミア全体でも「最も賢い買い物」と言える選手がクリチアーノ・ロナウドだ。在籍6年で特大のインパクトを残した後、世界最高額(当時)の移籍金を置き土産にレアル・マドリーへと巣立った。

 そんなカリスマアタッカーのパートナーには、ティエリ・アンリを選んだ。彼もヴェンゲルに見出され、粗削りな若きウインガーからワールドクラスのストライカーへと変貌を遂げた。

 いずれも、ゴールとアシストの双方で、クラブのタイトル獲得に貢献した姿も共通する2トップだ。アンリのフリック&ボレーから、C・ロナウドの無回転FKなど、合計259点を数えるプレミアでの得点には、芸術度の高いゴールが多い。

◆スタマーズ氏が選ぶベストイレブン(※右から)

【GK】
シーマン(アーセナル)

【DF】
ローレン(アーセナル、ポーツマス)、R・ファーディナンド(リーズ、マンチェスター・Uなど)、ファン・ダイク(サウサンプトン、リバプール)、A・コール(アーセナル、チェルシー)

【MF】
ジェラード(リバプール)、ヴィエラ(アーセナル、マンチェスター・C)、キーン(ノッティンガム・F、マンチェスター・U)、スコールズ(マンチェスター・U)

【FW】
C・ロナウド(マンチェスター・U)、アンリ(アーセナル)

【監督】
ファーガソン(マンチェスター・U)

 チームの心臓部である中盤がとりわけ最強だ。

 身体能力でも長けているパトリック・ヴィエラ、果敢なスライディングタックルなど身体を張った守りも見せ、豪快なミドルシュートという飛び道具も持つスティーブン・ジェラード、抜群のスタミナとFW顔負けの決定力を持つフランク・ランパードは、攻守に存在感を発揮する。

 前線には、ウェイン・ルーニー、クリスチアーノ・ロナウド、そしてティエリ・アンリが並ぶ。垂涎ものの連携や驚愕のドリブル突破も朝飯前で、おそらく自由にポジションを入れ替わりながら、互いにチャンスを演出し合って華麗なトリオだ。

 チェルシーの黄金期をリードしたディディエ・ドログバも加えたかったが、セットプレー時の得点能力も含めて穴のない攻撃陣だけに、ベンチに回ってもらうしかなった。

 最も人選を悩んだポジションは右SBだ。トレント・アレクサンダー=アーノルドは、昨シーズンからレギュラーを張るリバプールで、アシスト源としても貢献度が高い。だが、最終的には、ガリー・ネビルをチョイスした。

 過去20年のうち12シーズンで、高いレベルで、安定した守備を見せ、マンチェスター・ユナイテッドに9つもの主要タイトルをもたらした功績は絶賛に値する。


 逆サイドは、アシュリー・コールで決まり。アーセナルからチェルシーへの移籍で物議を醸したが、プレミアリーグ史上最高の左SBとも言うべき実力に疑いの余地はない。

 最終ラインのセンターは、ジョン・テリーとヴァンサン・コンパニの心強いコンビだ。強くて巧く、生来のリーダーでもあった2人は、2000年代中盤から後半にかけて「リーグ最強」と言われたリオ・ファーディナンドとネマニャ・ビディッチのコンビをも凌ぐ実力派だ。

 GKはペトル・チェフだ。プレミア史上最多の202試合ものクリーンシートを達成した守護神は、絶対的な安定感をチームに与える。

 このベストイレブンを、2012-13シーズンの監督引退を通算13度目のプレミア優勝で花を添えた“サー”・アレックス・ファーガソンが率いるとなれば、無敗優勝も現実的な常勝集団が出来上がる。

◆ドミニク氏が選ぶベストイレブン◆(※右から)

【GK】
チェフ(チェルシー、アーセナル)

【DF】
G・ネビル(マンチェスター・U)、コンパニ(マンチェスター・C)、テリー(チェルシー)、A・コール(アーセナル、チェルシー)

【MF】ジェラード(リバプール)、ヴィエラ(アーセナル、マンチェスター・C )、ランパード(ウェストハム、チェルシー)、ルーニー(エバートン、マンチェスター・U )

【FW】
アンリ(アーセナル)、C・ロナウド(マンチェスター・U)

【監督】
ファーガソン(マンチェスター・U)

文●スティーブ・スタマーズ(Steve Stammers/Daily Mail etc.)
  ドミニク・ファイフィールド(Dominic Fifield/The Athletic)
翻訳●山中忍