東京ヴェルディの羽生英之代表取締役社長は5月14日、オンラインで複数メディアに対して取材対応を行なった。

 新型コロナウイルスの影響で試合が開催できない今、各クラブの経営状況は悪化の一途を辿っている。当然東京Vも例外ではないが、現在は深刻な状況にまでは陥っていないと、羽生社長はいう。

「スポンサーからはすでに入っている資金が随分あります。私たちの経営的なインパクトになるのは、入場料収入がないというところ、スクールの収入がないというところ。最大4億~5億のインパクトがある。ただ、この10年間で銀行からは信頼を得ているので、今の状態でお金を貸してくれるところはいくつかあるし、公的な金融機関からも融資があるので、そういうのを視野に入れながらやっている感じです。資金繰りはそこまで深刻ではないです」

 羽生社長が懸念視しているのは、今年度よりも来年度だ。「支えていただいているパートナー企業さんの業績がどうなるかということも気になるし。ですから今年、来年の2年間かけて解決していきたい」と今後を見据えている。

 さらに羽生社長が一番危惧しているのは、「選手の心の問題」だと言う。

 社長からは選手全員に『再開した時に、スポーツの役割は大きいと思うから、その時に最大のパフォーマンスをできるよう、とにかく心と身体の準備をしておいてください』とアナウンスがあったが、やはり2か月以上も普段通りに公式戦やトレーニングができない生活が続けば、選手が抱える精神的なストレスは小さくない。

 実際に国際プロサッカー選手会(FIFPRO)の発表によれば、無気力などのうつ病の症状を訴える選手の数は、2019年12月~20年1月期(男子約6パーセント、女子約11パーセント)に比べて、今年3月~4月期(男子13パーセント、女子22パーセント)は倍増している。

 そうした状況もあってか、羽生社長は、再開日が決まったとしても、強制的に全員参加にはしない姿勢を示している。

「それぞれ家族にうつしたくないとか事情がある。今も自主練という形で個人の意思を尊重して、個別にメニューを渡している。これから緊急事態宣言が解除された後もそういう形でやっていきたいと思っている。練習に来なかったから試合に出さないとかは言うつもりはないし、そこは監督、GM、強化部長とも話をしている」

 選手の給与についても削減する考えはないという。J1の北海道コンサドーレ札幌では、選手から給与の一部を返納する申し入れがあったが、ただ他クラブのこうした動きに対し羽生社長は「すごく良い話」だとしながらも、「話し合いをもって、こういう形でクラブに協力してもらうとかは将来的にはあるかもしれないけど、今は給与の削減は、私も考えるつもりはないです」と話した。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)