RIZINを振り返る7回目は2017年4月16日の横浜アリーナ大会と同7月30日のさいたまスーパーアリーナ大会だ。

 まずは4月16日。第7試合に“キックボクシング界の神童”那須川天心が登場した。総合格闘技(MMA)デビューした前年末の2大会で2連勝して衝撃を与えた那須川は、今大会もMMAルールでフランシスコ・ギリオッティ(イタリア)と対戦。ムエタイがベースの相手を得意の打撃で圧倒すると、最後は左ハイキックと左ストレートで倒し、上からパンチの連打を浴びせて1回1分7秒TKO勝ちを収めた。

 鮮やかな秒殺劇でMMA3連勝。那須川は試合後、「みなさんの期待以上のことをして、格闘技界を変えていきたいと思います」と、頼もしい言葉を吐いて観衆を喜ばせた。

 そして、この大会ではまた1人、RIZINの柱となる選手が現れた。最高峰の総合格闘技団体UFCで世界フライ級3位まで登り詰めた堀口恭司だ。試合に恵まれなかったこともあってUFCとの契約を更新せず、RIZINへ参戦。第9試合で元DEEPフライ級王者の元谷友貴と対戦した。

 空手出身の堀口は、国内最強クラスの実力者に躍動感あふれる強烈な打撃を中心に攻め込み、組み付かれても付け入るスキを与えず。終始優位に試合を展開し、KO、一本はならなかったものの文句なしの判定勝ちを収めて、“メジャーリーガー”の貫禄を見せつけた。

 試合後はリング上で「これからRIZINをもりあげるので、よろしくお願いします」と高らかに宣言。その言葉通り、RIZINの軽量級戦線は堀口を中心に一気に活性化ししていく。一夜明け会見では、榊原信行実行委員長が「階級を超えた異次元の強さ」と評価。堀口にバンタム級転向を打診し、堀口を中心としたトーナメントの開催を決めたのだった。

 続いて7月30日。まずは第2試合で、タレント野沢直子の娘で、米国人の父を持つ真珠・野沢オークレア(当時はオークライヤーと表記)がMMAプロデビューした。9頭身のスタイルと美貌、血筋から注目を集めたが、色物でも親の七光りでもない実力の持ち主だった。

 真珠は母がリングサイドで観戦する中、アマチュアMMAの経験豊富なシーナ・スター(米国)と対戦。開始から長い手足から繰り出すしなやかなパンチとキックを次々とたたき込み、バックを取ってテークダウン。馬乗り状態となると情け容赦なく拳とヒジの雨を降らせ、最後は1回1分50秒、腕ひしぎ十字固めで仕留める完勝を収めた。

 第7試合では那須川天心が、キックボクシングからMMAに転向してRIZINには旗揚げ戦から参戦している才賀紀左衛門と、1回はキックボクシング(ボクシンググローブ着用)、2回は総合格闘技のミックスルールで対戦。那須川は才賀の指導を受けたこともあり、RIZINデビュー4戦目で初めてと言える実績ある相手だったが、ここでもファンの想像と期待を上回る衝撃的な勝利を見せつけた。

 開始から素早く的確なワンツー、キックなどをたたき込み、才賀がミドルキックを放とうとしたところでドンピシャのタイミングでカウンターの左ストレートがヒット。才賀はのけぞるようにダウンするとピクリとも動かず、1回1分36秒KOで那須川が勝利。才賀の試合では、当時の夫人あびる優がリングサイドで泣き叫ぶような声援を送るのが注目を集めていたが、それをさせる暇を与えないほどの早業だった。

 そしてメインイベントの第11試合は、この大会で開幕したバンタム級トーナメント1回戦。堀口恭司がベテランの所英男と激突した。距離を取っての打撃の攻防で主導権を握った堀口は、所の左フックをかわして右フックを側頭部にたたき込み、崩れ落ちた所にパウンドを浴びせると、1回1分49秒、レフェリーがストップ。またも異次元の強さを見せつけて2回戦へ駒を進めた。(続く)