マンチェスター・ユナイテッドの絶対的な守護神は、2017年の夏に退団騒動の渦中にあった。

 11年の夏に、アトレティコ・マドリーから10-11シーズンに現役引退したエドウィン・ファン・デルサルの後継者としてユナイテッドの一員となったダビド・デ・ヘアは、期待通り正守護神の座に収まった。

 しかし、入団6年目の夏にレアル・マドリーへの移籍話が急浮上する。最終的に移籍市場のデッドラインデーにケイラー・ナバス(現パリ・サンジェルマン)とのトレードを含むオペレーションで両クラブが合意したが、書類上の手続きが間に合わなかったために破談となっていた。

 この退団の騒動について明かしたのが、当時のユナイテッドのGKコーチだったエリック・スティールだ。英紙『iNews』で次のように語っている。

「ファン・ハールの下でプレーしていた時、デ・ヘアはマンチェスター・ユナイテッドを離れたいと思っていたし、我々は、その理由も知っていた。監督との関係がいいものではなかったんだ。しかし、実現はしなかった。物事がうまく行かなかったからだ。もしも、マーケットの最終日にちゃんと書類が送られていれば、彼はレアル・マドリーに行っていただろう」


 当時の指揮官であるルイス・ファン・ハールとの関係性から、デ・ヘアがユナイテッド退団を望んでいた明かしたスティールは、さらにこう続けている。

「デ・ヘアは特にファンにもクラブにも腹を立ててはいなかった。しかし、舞台裏では何かが起こっていた。明らかにね」

 ユナイテッドに留まってからのデ・ヘアのパフォーマンスは周知の通りだ。チーム成績が向上していないこともあり、批判されることなくはないが、レッドデビルズ(ユナイテッドの愛称)の守護神の地位は揺るがない。

 その立場は、シェフィールド・ユナイテッドでハイパフォーマンスを披露しているディーン・ヘンダーソンがレンタルバックする来シーズン以降も変わらない。スティールは、自身の見解を口にしている。

「クラブを離れようとしていた時と今は状況が異なる。デ・ヘアは笑顔でマンチェスター・ユナイテッドを改善させているし、退団したがる理由もない。

 私はディーンのことを14歳の時から知っているが、彼も素晴らしいキーパーだ。デ・ヘアもその存在は昔から知っていたはずだ。しかし、デ・ヘアの今の地位は揺るがないよ。ディーンは彼の場所に辿り着くまでには、もう少し課題を克服しないといけないだろうね」

 来シーズンに節目の入団10年目を迎えるデ・ヘア。その存在は、まだまだチームに安心感をもたらしそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部