“アルゼンチン・サッカー界が生んだ天才アタッカー”を称されているのが、リオネル・メッシだ。

 過去に前人未到の6度のバロンドール受賞を成し遂げるなど、バルセロナで偉大なるキャリアを築き上げた彼が史上最強のフットボーラーであるかどうかの議論は絶えない。そんなメッシにまつわる“史上最強論”に今回参戦したのが、ほかでもない母国の“英雄”マリオ・ケンペスだ。

 ケンペスはアルゼンチンの伝説的な点取り屋だ。現役時代には3回のワールドカップに出場し、自国で開催された1978年大会では得点王となって、アルゼンチンに史上初となる世界一の称号をもたらした。

 65歳となっても歯に衣着せぬ発言で、ご意見番として人気を博しているケンペスは、アルゼンチンのスポーツ放送局『Tyc Sports』のインタビューで今のメッシに対する考えを披露した。

「メッシは今でも世界最高のサッカー選手であると思う。ただ、他の選手たちと同じように年齢を重ねていることは忘れてはならない。彼が、今もヘタフェ戦でやってのけた5人抜きができるかは私にはわからないよ。どんな人であっても年を取れば、あらゆることが異なってくるものなんだ」

 現在32歳となったメッシに加齢による肉体的な弊害が出始めると指摘したケンペス。偉大なるストライカーは、進行役から「メッシがアルゼンチン・サッカー史上で最高の選手かどうか」と問われると、ディエゴ・マラドーナと天秤にかけつつ、こう答えた。

「何よりも重要なことはメッシにしても、マラドーナにしても、誰を比較するにしても、同じアルゼンチン人であり、世界のサッカーで勝利してきたということを忘れてはならない。明確な答えを出すのは難しいね」

 だが、ワールドカップ得点王となったレジェンドは、その矜持を忘れることはなかった。質問の最後には、ニヤリと笑って、次のように言い残している。

「代表チームにおいて最初に10番を背負ったのは78年の私だった。そしてチームは世界王者になった。そのうえで私は最優秀選手と大会の得点王になった。それは誰も超えられていないだろ?」

 最後に負けず嫌いな一面をのぞかせたケンペス。“アルゼンチン・サッカー界最強”の座を簡単に譲る気はないようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部