RIZINを振り返る6回目は2016年12月29日のさいたまスーパーアリーナ大会を見ていく。

 この大会では浅倉カンナのRIZINデビュー戦などもあったが、やはり一番の注目は“キックボクシング界の神童”那須川天心の総合格闘技(MMA)デビュー戦だった。

 第8試合に登場した那須川の相手は元テコンドー欧州王者ニキータ・サプン(ウクライナ)。だが、キックボクシングでは無敗の神童とはいえ、総合格闘技は甘い物ではなかった。開始から互いに得意の打撃の攻防を繰り広げ、約1分が経過したところで那須川はサプンの蹴り足をつかんでテークダウン。立った状態からパンチ連打で優位に試合を進めた。

 さらにグラウンドへ移行して上から攻めたが、一瞬のスキを突かれ、サプンに下からぶら下がるような腕ひしぎ十字固めで右腕が反り返るほどがっちり極められてしまう。神童のMMAデビュー戦にしてキャリア最大といえるピンチに場内は騒然。だが、那須川は苦悶(くもん)の表情を浮かべながらも約10秒耐え抜き、体を回転させて脱出する粘りを見せて再び観衆をどよめかせる。

 そこから、寝ながら誘うサプンと立ってにらみ合う形となると、上から強烈な左ストレートを発射。たまらず背を向けたサプンにパウンドの連打を浴びせて、1回2分47秒KO勝ちを収めた。そして試合後、なんと那須川は「31日、もう1試合どうですか。みなさん、見たいですよね」とアピール。高田延彦統括本部長は困惑しながらも前向きな返答をし、2日後の31日にも試合をすることになるのであった。

 続く第9試合は、元女子レスリング日本王者の村田夏南子と日本女子初のUFC戦士でRIZIN初登場の中井りんが激突。村田が対戦を熱望したことで実現した一戦は、総合格闘技転向後4連勝と勢いに乗る村田の圧勝を予想する声もあったが、中井はそうはさせなかった。

 村田得意のタックルがうまく決まらず、にらみ合いが続いて迎えた3回。中井は村田のタックルを切るとうまく背後に周ってテークダウン。そこから鍛え上げられた太い腕で裸絞めに捕らえ、3回1分16秒一本勝ちで貫禄を見せた。試合後、中井は伸身宙返り2連発のパフォーマンスを披露して観衆を沸かせたが、残念ながらRIZIN出場は今のところこの1試合のみとなっている。

 第11試合の無差別級トーナメント2回戦ではアミール・アルアックバリ(イラン)が、大会直前に欠場したシェイン・カーウィン(米国)に代わって急きょ参戦したヒース・ヒーリング(米国)の健闘に苦しみながらも判定勝ち。第13試合の無差別級トーナメント2回戦はミルコ・クロコップ(クロアチア)がヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)に代わって出場した前年のヘビー級トーナメント覇者キング・モー(米国)に、劣勢に立たされながらも左アッパーからパウンドに持ち込み、2回1分41秒TKOの逆転勝利を収めた。(続く)