4月23日発売のサッカーダイジェストでは、「Jリーグ歴代ベストイレブン」と題し、現役選手や元日本代表など総勢50名に“マイベストイレブン”を選んでもらっている。人選の条件は現在までに登録されたJリーガーで、外国籍選手は3人まで。ここでは、平塚や草津などで活躍し、現在は群馬のGKコーチを務める小島伸幸の“マイベストイレブン”を紹介しよう。

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 エムボマは絶対に外せない。彼にあの有名なボレーシュートを蹴り込まれたのは、他でもない、僕です。あの衝撃は忘れられません。あんなの普通はふかすと思うじゃないですか。だって直前に体勢を崩しているんだよ。それなのに、きっちり僕の頭上を抜いて枠に飛ばしてくるんだもん。「え、何が起きたの?」ってビックリでしたよ。それに彼は強いシュートだけでなく、テクニカルなシュートも打てるから、本当に厄介でした。ただ逆に言えば、彼と出会ったことで、僕のセービングの基準が高まったところはあります。そういう意味でも思い入れは一番強いですね。

 やられたという点では俊輔も入れたい。彼にFK第1号を決められたのは、今となっては光栄です(笑)。しかも実は翌年にも同じような位置から決められているんですよね。FKのタイミングが独特で、僕は結局分析し切れませんでした。木村和司さんのキックも嫌だったけど、それ以上に捕まえ切れないボールを蹴ってきたのは、彼が初めてでしたね。

 その俊輔と小野、ヒデ(中田)は、史上最高のトリオです。小野はもう天才。「1番上手い選手は誰」と訊かれたら、彼と即答します。天才と呼ぶのは、彼のこと以外認めません。どこに目がついていて、いつ見ているんだよっていうプレーの連続でしたからね。それにワールドカップに18歳で初めて出て、最初のプレーで股抜きしちゃうんですからね。ぶったまげて、ベンチでひっくり返っちゃったよ(笑)。その度胸ももちろんだけど、確かな技術に裏付けされた自信を持っていた。天才と言われるのを本人は嫌がるんだけど、彼ほどの才能を見たことがないです。

 対照的に“努力の塊”だと思うのがヒデです。高い目標を設定して、そこに向かって地道に努力することに関しては、この選手の右に出るものはいません。高卒でプロ入りした頃と、その3年半度にイタリアに行く時では、まったくの別人になっていましたよ。ファウルまがいのタックルを受けてもちっとも倒れやしないんです。一緒にプレーしていて、この選手は近いうちに世界に羽ばたくなと思いましたね。僕よりも年下ですけど、彼にプロフェッショナルとしての姿勢を学びましたよ。

 彼ら3人の後ろに陣取るのはドゥンガ。派手さはないですが、“戦う”姿勢を日本人に植え付けてくれました。ピクシー(ストイコビッチ)も入れたかったんですけどね。前に3人を入れるとなると、どうしてもアンカーでビシッと締めてくれるドゥンガはマストでした。

 外国人選手ではさらにGKにジルマールを選びました。GKは普通なら(川口)能活かナラ(楢﨑)のどっちかになるんでしょうけど、ふたりが喧嘩しないようにね(笑)。ただジルマールも素晴らしい選手でしたよ。至近距離のシュートストップが本当に上手かった。きっちりと仕事をこなす“職人”タイプで、勝点をもたらせる貴重なGKでした。

 さらに熱血キャプテンのハシラさん(柱谷)と、高さも強さもあってクレバーな井原というCBコンビがいれば、守備は盤石でしょう。ハシラさんのような味方を鼓舞できる闘将タイプってこの頃は少なくなってきましたよね。同じタイプでは松田直樹とか(田中マルクス)闘莉王も候補に挙がりましたが、それでもハシラさんのゲキは強烈に印象に残っていますね。いまだに会うと怖いですから(笑)。井原さんは僕が一緒にプレーしたなかでは最高のCBです。どちらかと言えば大人しく背中で引っ張るタイプなので、ハシラさんとは良いコンビです。

 また解説者時代に驚かされた選手も選びました。ひとり目は香川。フィニッシュまでがスムーズで正確なんですよね。ゴール前で楽しんでプレーしているように見えます。セレッソから海外に渡ってからも変わらずキレキレなプレーをしていて驚きました。彼にはゴール前やエムボマの周りで仕事をしてほしいです。

 ふたり目は長友、このシステムだとサイドには運動量のある選手は外せません。その点、長友は別格。我々がプレーしていた90年代ではインターセプトは90分で3、4回くらいでも多いほう。それが彼の場合は常に上下動している。そうした近代的なSB像をもたらした彼の功績は大きいです。

 3人目は酒井。彼もSBのイメージを変えた選手です。これまでに日本には大型のSBって少なかったですよね。体格が良いDFは大抵の場合CBにされちゃいますから。でも彼はSBを貫いた。それもスピードがあって、器用ときた。GKとDFの間を突くアーリー気味の鋭いクロスを観た時には、ついにこんな選手が出てきたかと心が躍りましたよ。


 監督はオシムさん。様々な名言を残し、日本が世界で戦うヒントをくれた。僕を代表に選んでくれた加茂(周)さんや岡田(武史)さんとも迷いましたけど、日本サッカーへの影響力はオシムさんが一番大きいのかなと。低迷していたジェフを蘇らせた手腕も流石でしたし、その根底にあるサッカー観がなによりしっかりしていた方でした。

 もちろんオシムさんが指揮すれば間違いはないですが、何も言わなくてもこの11人が揃ったら十分に機能しそうですよね。小野、中村、ヒデを中心に攻撃を作って、長友と酒井がサイドを駆け上がる。エムボマがいるから一発のロングカウンターも狙えるし、攻撃は多彩ですね。まあ、一抹の不安はドゥンガとハシラさんが喧嘩しそうな点かな(笑)。そこだけはオシムさんにまとめていただきましょうか。

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PROFILE
小島伸幸 こじま・のぶゆき/66年1月17日生まれ、群馬県出身。平塚や草津で活躍した守護神。元日本代表で98年のフランス・ワールドカップのメンバーでもある。引退後はアルテリーヴォ和歌山のアドバイザーなどを経て、今季は群馬のGKコーチを務める。

※『サッカーダイジェスト』2020年5月14・28日合併号より転載。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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