<サッカー、あのときの一言~3>

名場面に名言あり。サッカー界で語り継がれる記憶に残る言葉の数々。「あの監督の、あの選手の、あの場面」をセレクトし、振り返ります。

「あのロストフの、倒れ込んで背中に感じた芝生の感触。それで見上げた空の色だか、感じだか。それは忘れるな。ベンチで座っていた選手たちの、あの居心地の悪い、ベンチのお尻の下の感触を忘れるな」。

18年7月2日、W杯ロシア大会の決勝トーナメント1回戦。ロストフとは、西野ジャパンがベルギー代表と対戦した地ロストフナドヌーのことだ。MF原口元気、MF乾貴士のゴールで2点をリードしたところから逆転負けを喫した。2-2の後半ロスタイム、4分の目安まで残り約27秒のところから、衝撃的なカウンターを浴びた。

紹介したのは、試合を終えた選手たちに西野朗監督がかけた言葉。7月5日に帰国した際、会見で指揮官が明かした。

チームへの期待感は薄かった。W杯まで約2カ月に迫った4月9日、JFAは当時チームの監督だったバヒド・ハリルホジッチ氏を電撃解任。5月には「これは陰謀だ」などと主張する同氏から提訴された。大会を終えて帰国した7月5日は、西野監督の就任からわずか46日目だった。

5月31日にメンバー31人を発表した際には平均年齢が28歳を超えた。主軸が14年ブラジル大会とほぼ変わらないことなどから“おっさんジャパン”と皮肉られ、日刊スポーツでも6月1日付の朝刊1面には「忖度ジャパン」「驚くほどノーサプライズ」の見出しがついた。

大会中も話題になった。本大会の初戦で南米の強豪コロンビア代表を撃破し、一気に機運を高めたのが手始め。ポーランド代表との第3戦では1次リーグ突破のため、0-1で負けていてもラスト10分間をボール回しに終始。世界から賛否を呼んだ。

ベルギー戦ではでは世界の壁の厚さを痛感させられた。ただ、大方の予想を覆す戦いで8強入りに手をかけたのも事実。帰国会見で西野監督はこうも残した。「十分に大きな成果を上げてきたわけではない。結果だけではない戦いぶり、多くの方にそういう部分は何か伝えられたと思う」。