RIZINを振り返る5回目は2016年の後半、12月29、31日に行われた2大会。だが、今回は試合ではなく、直前の欠場が相次ぐドタバタに見舞われた大会前を振り返ることにする。

 まずはK-1のカリスマ武尊。前年大みそかのRIZINに参戦して全国の視聴者にその名を知らしめ、この年の11月3日に行われたK-1初代フェザー級王座決定トーナメントで優勝した後には、2年連続の大みそかRIZIN参戦をアピールしてファンを興奮させていた。だが、その後、右拳を骨折していたことが判明。同月20日に出場を断念した。この後、武尊は現在までRIZINのマットに一度も立っていない。

 2人目はヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)。前回大会でミルコ・クロコップ(クロアチア)とリング上で並び立って高田延彦統括本部長の問いかけに応じ、無差別級トーナメント2回戦での対戦が決まったにもかかわらず、大会2週間前になって欠場が決定。この年の5月に交通事故で負ったケガが完治していないことを理由とし、代役には前年末のヘビー級トーナメントで優勝したキング・モー(米国)が立てられた。

 続いて、推薦枠で無差別級トーナメント2回戦からの出場が発表されていた元UFCヘビー級王者シェイン・カーウィン(米国)。5年以上実戦から遠ざかり、3年半前の引退表明からの復帰だったが、世界最高峰の団体でチャンピオンベルトを腰に巻いた大物の参戦は期待を集めた。しかし、子どもの親権訴訟を大きな理由として、試合9日前になって欠場が決定。榊原信行実行委員長は「サインしたことを簡単に諦めることが信じられない。その程度のヤツはいらない」と不快感をあらわにし、PRIDEでも活躍したヒース・ヒーリング(米国)が8年4カ月ぶりに現役復帰して代役を務めることになった。

 負の連鎖はまだ止まらず、その2日後には女子プロレスラーの神取忍も欠場を発表。規格外の肉体とパワーを武器にRIZINで快進撃を続ける“霊長類最強女子”ギャビ・ガルシア(ブラジル)を止めるべく対戦相手に名乗りを上げ、対戦発表会見では「心を折る」と息巻いていたのだが、練習中に肋骨を折ったことで出場を断念。会見では涙を流して謝罪し、代役には同じ女子プロレスラーの堀田祐美子が立ち上がった。

 しかし、悪いことばかりではなく、RIZINの未来を明るく照らすニューヒーローも現れていた。当時高校生だった“キックボクシング界の神童”那須川天心だ。出場が発表されたのはキックボクシングの新イベントKNOCK OUTの旗揚げ戦でムエタイの現役世界王者を1回KOで葬ってからわずか9日後の12月14日。しかも総合格闘技(MMA)デビューという常識外れの初参戦だった。

 高田延彦統括本部長から大リーグ・エンゼルスの大谷翔平のごとくキックボクシングとMMAの二刀流を期待された那須川は「両方しっかりやって、格闘技を背負っていきたい」と決意。そして、本番では驚くべき活躍を見せるのだった。(続く)