新型コロナウイルスの感染拡大で、島根県出雲市が今秋の「出雲駅伝」に気をもんでいる。市内最大級のイベントの開催に不透明感が漂う中、関係者も事態の推移を見守るしかないのが現状だ。

 1989年に始まった出雲駅伝(出雲全日本大学選抜駅伝競走)は市と日本学生陸上競技連合が主催、駅伝シーズン幕開けの10月に開く。40キロ余りと距離が短く、コースが平坦(へいたん)なため「高速駅伝」として知られる。全日本大学選手権、箱根駅伝と並ぶ「学生三大駅伝」の一つとされる。

 地元にとっても秋の風物詩として定着。全国から強豪校が出場し、トップ選手を間近で見られるとあって、沿道やゴールの出雲ドームには県外ファンも含めて大勢の市民が集まる。

 例年なら5月に市側が学生連合事務局(東京都)を訪ねて開催打ち合わせをスタートさせる。7月には連合側が現地に来て両者で会議をするなど詳細を詰め、その後も協議を重ねて直前に大会要項を発表する。しかし、今年はコロナ禍で双方が県外出張を自粛、すぐに協議に入れそうにない。

 市内きってのスポーツイベントだけに市は可能なら開催したいのが本音だ。ただ、選手や役員のほかに2500人にのぼる運営ボランティア、応援する多数の大学OB・OGが市内に集結するため、劇的な終息でもなければ感染防止は容易でない。レースそのものも、選手によっては活動自粛で大学の設備が使えず練習環境確保と競技力維持に苦労しているためパフォーマンスに影響が出る可能性もある。

 市文化スポーツ課の三代均課長は「(学生の部活などに対応している)相手をおもんぱかって、こちらから連絡もしていない状況。緊急事態宣言がどうなるかでも違ってくるが、ウェブ会議のようなことが必要になるかも。連休明けには連絡をとってみたい」と心配する。学生連合事務局も「開催したいが、今の状況ではなんとも言えない。何も動いていない」と話す。

 出雲駅伝の中止は台風の影響による2014年の26回大会の1度だけ。

 開催について問われた長岡秀人市長は「(可否を)いろんな検討をしている」と述べるにとどめた。(杉山高志)