日本相撲協会は17日、元関脇の豊ノ島(36)=本名・梶原大樹、高知県出身、時津風部屋=の現役引退と年寄「井筒」の襲名を発表した。高知・宿毛高から2002年初場所で初土俵を踏んだ。長く幕内で活躍し、10年九州場所では14勝1敗で横綱・白鵬と並んだが、優勝決定戦で敗れた。幕下に落ちていた今年3月の春場所で負け越していた。

 身長168センチ。小さな技巧派として10度の三賞を受賞した豊ノ島の力士人生の終盤を支えたのは、家族と亡き盟友の存在だった。

 16年7月、左足アキレス腱(けん)を断裂した。幕下まで転落。「心が折れかけていた」という17年1月末、弟弟子の時天空が悪性リンパ腫のため亡くなった。激しい三番げいこで出世を競った仲。葬儀で弔辞を読んだ豊ノ島は、「フチェ(時天空)の分まで頑張って復活する」と奮い立った。

 18年九州場所で十両に復帰。幕内にも戻ったが、その後もけがに苦しんだ。今年、再び幕下に落ちても土俵にしがみついたのは、娘に泣いて頼まれたからだ。豊ノ島は17日、「(以前は)家族のため、なんて思わなかった。でもケガをして、1人だったらダメだったと思った。両方(の気持ち)を経験できた。悔いはないですね」と話した。(鈴木健輔)