この原稿を執筆している4月11日現在、アメリカで確認された新型コロナウイルスの感染者数は50万人に達しようとしている。

 死者は1万8000人以上となった。

 その犠牲者の3分の1近くは、筆者が住んでいるニューヨーク市から出ている。

 桜も終わりかけたセントラルパークには臨時のテント張りの野外病院が、ハドソン川には米海軍の病院船「コンフォート」が、そして全米最大規模の展示会場、ジェイコブジャビッツ・コンベンションセンターにも臨時病院が設置された。

 在宅勤務令が出てから2週間以上になるが、感染者は増えていく一方である。

 特にニューヨーク市では、現場で従事する医療関係者たちを守るためのマスクと手袋など保護用具が不足していると報道されている。

医療用マスクや手袋などの購入費用に使われる。

 そんな中で、一抹の光明を感じさせる明るいニュースが届いた。

 世界中のトップスケーターたちがニューヨーク現地時間の4月17日金曜日夜8時から、「ブレーズ・フォア・ザ・ブレイブ」(勇者のブレード)というチャリティイベントに出場することがアナウンスされたのだ。

 世界各国から、スケーターたちがそれぞれこの自主隔離の生活をどのように過ごしているのかなどの報告や、とっておきのビデオ映像などを1時間にわたってオンラインストリームで公開するという。

 映像を通して視聴者から寄付金を募り、収益金は全てAmericaresという米国医療支援機関のCOVID-19支援基金に送られる仕組みだ。

 第一線で日夜新型コロナウイルスの患者の治療を続ける医療従事者たちに支給する、医療用マスクや手袋などの購入費用に使われる。

佐藤有香、荒川静香、村主章枝、安藤美姫らが参加。

 現在のところ出演が確認されているのは、アルファベット順に、ジェレミー・アボット、ブライアン・ボイタノ、ミハル・ブレジナ、ジェイソン・ブラウン、カート・ブラウニング、オレクセイ・ビチェンコ、サーシャ・コーエン、グレイシー・ゴールド、エカテリーナ・ゴルデーワ、スコット・ハミルトン、ナンシー・ケリガン、タラ・リピンスキー、タチアナ・ナフカ、ヴィクトール・ペトレンコ、エフゲニー・プルシェンコ、マッテオ・リッツォ、ブレイディ・テネル、ジョニー・ウィアー、ロヒーン・ワード他。

 日本からは佐藤有香、荒川静香、村主章枝、安藤美姫が参加する。

 企画したプロデューサー、タラ・モデリン・マウリツィの呼びかけに答えて何世代もの過去のオリンピックチャンピオン、世界チャンピオン、メダリストたちが顔を揃えた。

「これは人生で最も重要な戦い」とゴールド。

「フィギュアスケートは国際スポーツです。私たちはモスクワ、ニューヨーク、東京など世界各地から、医療関係者たちをサポートする『アメリケアCOVID-19治療支援運動』に貢献するために集まりました」

 こう語るのは、ジェイソン・ブラウンと共に司会を務める予定のグレイシー・ゴールドだ。

「私も他の世界各地の選手たちと一緒に参加できることを誇りに思います。これは私たちにとって、人生でもっとも大事な戦いです。この心が裂けそうな病に必ず打ち勝つように、頑張りましょう」

 これまでに決定した参加者の国籍は、カナダ、チェコ、フランス、イスラエル、イタリア、ロシアなど全世界9カ国。日本からもライブでBladesforthebrave.org と Americares のFacebook 、Twitter 、またはYouTube チャンネルで視聴することができる。

 現在の日本と米国東海岸時間の時差は13時間。日本時間だと4月18日朝9時開始となる。

ハビエル・フェルナンデスはどうしているのか?

 個人的には、イタリアのミラノ郊外を拠点とするマッテオ・リッツォがどのような状態でいるのか、気になっていた。

 またマドリードではアイスリンクが遺体の一時安置所に使われていると報道された。

 この出場リストに載っていないが、スペインでのアイスリンクの増設に大きな貢献を果たしたハビエル・フェルナンデスはどうしているのか気になっていたが、エージェントを通して無事でいることが確認された。

 またフィギュアスケート関係者として初の感染が報道された1984年五輪ペア王者、ロシアのオレグ・ワシリエフ・コーチは、幸いなことに本人、家族とも症状が軽く、現在モスクワ郊外で自宅療養をしていると本人から直接筆者に返答があった。

 日本でも日々、感染者の増加が報道されている。

 この前代未聞の異常事態が、一日でも早く終結の兆しを見せてくれることを願って止まない。

(「フィギュアスケート、氷上の華」田村明子 = 文)