3月6日、エストニアの首都タリンで世界ジュニア選手権男子の決勝が行われた。

 日本の男子は鍵山優真が銀メダル、佐藤駿が総合6位という結果になった。期待されていたメダル2個にはいたらなかったものの、来季の日本男子の出場枠を最大の3枠獲得した。

 SPでは鍵山優真が1位に立った。佐藤操コーチ振付、ピアノ協奏曲『宿命』で3ループ、3アクセル、そして3ルッツ(不正エッジ注意マーク)+3トウループを着氷。スピードに乗った高いジャンプで、リンク全体をまんべんなく使った質の高いスケーティングは、見ていて爽快感がある。

 85.82を獲得し、やはりノーミスだった2位のアンドレイ・モザレフに1.51差をつけ、トップに立った。

フリーでミスがあるも2位にとどまった鍵山。

 だがフリー『タッカー』では、冒頭の4トウループで転倒。素早く持ち直して3ループ、4+2トウループのコンビネーションを着氷した。最後に予定していた3アクセルがパンクして1アクセルになってしまったのは、痛かった。

 フリーは145.93で5位。それでも総合231.75で2位にとどまった。会見ではこう語った。

「今日の演技に関しては、6分間練習から気持ちと体のタイミングが合わずに、緊張があってそれがミスにつながってしまいました。

 今シーズン一番自信を持っていた4トウループを転んでしまってちょっとあせってしまったんですけど、すぐに気持ちを切り替えて2本目のコンビネーション、リカバリーすることができたので良かったなと思います」

一晩たって、悔しさが増してきた。

 だが翌日、一夜明けの囲み取材では一晩たって、ますます悔しさが増してきたと苦笑い。

「銀メダルとれたというのはすごい嬉しいですけど、演技自体のことを考えるとアクセルで(体を)しめておけばよかったなとか、スピンのレベル取りそびれたという悔しさが出てきて複雑な気持ちです」と語った。

  今シーズン、ジュニアGPファイナル、そして全日本選手権とSPでのミスが出て、フリーで挽回するということを繰り返していた。だがここではSPをノーミスできめたことで、違った緊張が出てきたのだという。

「フリーは今まで自信を持ってやってきた。でも昨日のフリーはちょっと違っていて、欲が出てしまって、それで思わぬ緊張感が出てしまって最後は力尽きて、3アクセルを(体を)しめることができなくて、それはすごく後悔しています。フリーはあせってしまったというのがあった」と振り返る。

「今後の大会は、ショートもフリーも落ち着いて、リラックスしてできたらいいなと思っています」と、これを学びの経験とすることを誓った。

3ルッツ+3トウループなどはノーミスできめたが……。

 佐藤駿は、佐藤操振付SP『ロシュフォールの恋人たち』で、きれいな3アクセルから演技を開始。3ルッツ+3トウループ、3ループとノーミスできめたが、スピンでわずかに姿勢を崩して79.30で5位スタートになった。

 フリー『ロミオとジュリエット』では、冒頭の4ルッツで体が開いて2回転に。次の4+2トウループは降りたが、続いた4トウループで転倒。

 だが持ちなおして2度の3アクセルを含む残りをノーミスで滑り切って142.32を獲得。総合221.62で6位だった。

「後輩のために3枠取りたかった」と佐藤。

 SP、フリーともグループの1番滑走を引いてしまった佐藤。特にフリーでは、6分間ウォームアップの直後の演技ということにうまく対処できなかったと告白した。

「多くの課題が見つかった大会でした。1番滑走は久しぶりで、どうやっていいのかわからないところがあった。6分間の使い方がよくわからなかった。

 早く(ジャンプを)仕上げて残りの時間はスケーティングをしようと考えていたけれど、最後1分30秒くらいまで4回転が決まらなかった」

 それでも来季の日本男子3枠が取れたことにふれると、「それはとても安心しています」と表情を緩めた。

「確実にそれだけは絶対とりたいと思っていた。後輩のために。優真のおかげというのもあるのですが、それだけはとれたというのは嬉しかったです」

1位、3位はロシア勢が占める。

 優勝したのはロシアの16歳、アンドレイ・モザレフ。

 ジュニアGPファイナルで2位だった彼は、ここではSPとフリー通してジャンプのミスはただ1か所だけという安定した滑りを見せた。

「練習のときのように、落ち着いて演技ができたと思う。でも3アクセルや4回転は、最高のできではなかった。シニアに上がったら、もっと内容の難易度を上げていかなくては」と会見で通訳を通してコメントした。

 3位にはSP9位から上がってきた17歳のピョートル・グメンニクが入った。3人中彼のみ、世界ジュニア選手権2度目の出場である。

「昨年の経験のおかげで、それほどあがらなかった。表彰台のことは考えなかったけれど、(フリーは)ほぼノーミスで滑りきることができて嬉しいです」と嬉しさを表現した。

 モザレフ、鍵山、そして佐藤とも来季からはシニアレベルに上がることを予定している。戦いは、まだ始まったばかりだ。

(「フィギュアスケート、氷上の華」田村明子 = 文)